ボーイングが、開発中の次世代大型機777Xの引き渡し開始を2年遅らせ、2025年に初号機を納入すると発表した。国内では全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)が長距離国際線機材777-300ERの後継機として20機発注している。
ボーイングによる納入延期発表の翌日4月28日。2022年3月期の通期連結決算を発表したANAHDの芝田浩二社長は、777Xの受領について「バッファーを設けており、直接事業計画に影響を与えることはない」と述べ、当面は静観する構えを示した。「場合によってはリース機材(の契約)を延長するなどの判断もあるかもしれないが、まだ時間があるので検討していきたい」(芝田氏)という。
また、ANAの主力機材である787も、ボーイングはFAA(米国連邦航空局)から製造時の品質問題を指摘されており、航空会社への引き渡しが中断している。そして、ANAがローンチカスタマーとして発注している国産初のジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」も、開発を担う三菱航空機が米国の開発拠点を閉鎖し、試験機も一部解体しており、プロジェクトが頓挫する可能性が高まっている。
好調なゴールデンウイーク需要などコロナからの復活が見え始めた今、ANAは機材計画をどう考えているのだろうか。
—記事の概要—
・777X確定発注は維持
・年度内8機退役、受領18機
・スペースジェット「今まで通り注視」
777X確定発注は維持
ボーイングは当初、777Xの初号機納入を2020年に予定していたが、その後2021年に延期。2020年10月には、2件の墜落事故が起きた小型機737 MAXの認証プロセスで問題となった点を踏まえて2022年に再延期され、2021年1月に入ると2023年後半に後ろ倒しされた。FAAによる型式証明(TC)の承認要件や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を考慮したものだった。ボーイングの現地時間27日の発表によると、今回の延期はTC取得に時間が掛かることが主な要因で、生産も一時中断しているという。
ANAHDが777Xを正式発注したのは2014年7月31日。777Xはメーカー標準座席数が2クラス384席の777-8と、426席の777-9の2機種で構成され、777-9から開発が進められている。ANAHDが発注したのは777-9で、現行機777-300ERよりもやや大型化する。
受領は当初2021年度に開始し、2027年度にかけて全20機が引き渡される計画だったが、納入遅延により2025年度以降にずれ込む。
芝田社長は「国際線がコロナ前の水準に回復するのは、2023年度末とみている」と語る。ANAグループの機材は2025年度の想定で、ANA本体の機材はコンセプトを刷新するエアージャパン(AJX/NQ)の機体を含めて245機から
これより先は会員の方のみご覧いただけます。
無料会員は、有料記事を月あたり3記事まで無料でご覧いただけます。
有料会員は、すべての有料記事をご覧いただけます。
会員の方はログインしてご覧ください。
ご登録のない方は、無料会員登録すると続きをお読みいただけます。
無料会員として登録後、有料会員登録も希望する方は、会員用ページよりログイン後、有料会員登録をお願い致します。
* 会員には、無料個人会員および有料個人会員、有料法人会員の3種類ございます。
これらの会員になるには、最初に無料会員としての登録が必要です。
購読料はこちらをご覧ください。
* 有料会員と無料会員、非会員の違いは下記の通りです。
・有料会員:会員限定記事を含む全記事を閲覧可能
・無料会員:会員限定記事は月3本まで閲覧可能
・非会員:会員限定記事以外を閲覧可能
* 法人会員登録は、こちらからお問い合わせください。
* 法人の会員登録は有料のみです。