エアバス, 機体 — 2022年4月23日 18:19 JST

三菱重工、PW1100G燃焼器の工場拡充 24年3月完成

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 三菱重工業(7011)は、航空エンジン部品の製造を手掛ける三菱重工航空エンジン(MHIAEL)の工場拡張を決定したと4月22日に発表した。MHIAELは長崎造船所内にあり、第2期棟を2024年3月に完成させる計画を進める。エアバスA320neoのエンジン「PW1100G-JM」向け燃焼器を手掛けており、コロナ後の成長につなげる。

MHIAEL長崎工場 拡張後イメージ(三菱重工提供)

MHIAEL長崎工場拡張後イメージ(三菱重工提供)

ANAのA320neoのPW1100G=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今回の第2期投資では、第1期棟の北側と東側に隣接して第2期棟を建設し、工場を現在の約5400平方メートルを約2倍となる1万1000平方メートルに拡張。計画では、現在は海外メーカーに委託している一部の製造工程を取り込むことで、燃焼器の完全一貫生産を実現し、生産設備を増強して大幅な増産に備える。

 MHIAELは長崎工場の第1期を2020年11月に稼働。米プラット&ホイットニー(PW)製PW1100G-JMの燃焼器部品を製造している。第2期棟を建設することで、内製力とコスト競争力を強化する。

 三菱重工によると、エアバスはA320neoの段階的な増産を計画しており、PW1100G-JMの燃焼器部品とアフターサービスの需要は、今後数年間で倍増する見通し。

 PW1100G-JMは、エアバスA320neoファミリーに搭載するエンジンで、PWと日本航空機エンジン協会(JAEC)、独MTUアエロエンジンズが設立した合弁会社IAE(インターナショナル・エアロ・エンジンズ)が主体となり、2011年から開発を開始。JAECが全体の23%を担当し、MHIAELは燃焼器部位の部品製造と、燃焼器モジュールの組み立てを担っている。このほか、IHI(7013)と川崎重工業(7012)も参画している。

 国内航空会社でA320neoファミリーを発注しているのは、ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下の全日本空輸(ANA/NH)とピーチ・アビエーション(APJ/MM)、日本航空(JAL/JL、9201)が出資するジェットスター・ジャパン(JJP/GK)、北九州空港に本社を置くスターフライヤー(SFJ/7G、9206)の現在4社。エンジンはANAのA320neoとA321neoがPW1100G、ピーチのA320neoとA321LR、ジェットスターのA321LRは仏サフランと米GEの合弁会社であるCFM製のLEAP-1Aとなる。LEAP-1Aを選定した航空会社の声として、従来型であるCFM56に対する信頼性の高さを評価するものが目立つ。

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