エアライン — 2022年4月21日 10:26 JST

JAL、出向CAが活動報告「客観的に見直す機会になった」

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 日本航空(JAL/JL、9201)は4月20日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で官公庁や企業などに出向していた客室乗務員の活動報告会を開いた。客室本部長の鳥取三津子常務に2人の客室乗務員が出向で得た成果などを報告した。

出向先での取り組みを報告するJAL客室乗務員の榊原さん。「航空業界やJALを客観的に見直す機会になった」という=22年4月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
「ゼロから1を生み出す仕事だった」
コロナ後も継続

「ゼロから1を生み出す仕事だった」

 鳥取常務によると、JALの客室乗務員は約8000人で、日本人が約87%、残り13%がバンコクとシンガポール、香港、台北、上海、ロンドン、フランクフルトの海外基地に所属。コロナによる出向は2020年9月から始まり、のべ1500人が官公庁や企業などへ出向し、現在も約500人が出向しているという。

出向先での取り組みを報告するJAL客室乗務員の渡邊さん(左)=22年4月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 報告会に出席した渡邊由梨香さんは2012年に既卒採用で入社。厚生労働省の国際課に2021年4月1日から今年2月28日まで出向し、日本に住む外国人向けに新型コロナ関連の情報を英語で伝えるSNSアカウントの立ち上げや運用、ウェブサイトの更新など、これまで未経験の広報業務に携わった。

 渡邊さんは「ゼロから1を生み出す仕事だったので、JALに戻った後も会社が良くなることをやりやすくなった。外国人の要望に触れられたのは大きかったので、仲間にも共有し、外国人客の心に今までよりも寄り添ったサービスをしたい」と報告。「英語がわかる外国人ばかりではないので、どうしたら正しい情報を伝えられるかを考えていきたい」(渡邊さん)と今後の抱負を語った。

 野村不動産に出向した榊原愛さんは2014年入社。2021年2月1日から今年2月28日まで出向し、法人向けの営業に携わったが、表計算ソフトのExcelなど乗務では使わないパソコンの扱いに苦労したという。

 榊原さんも営業は未経験の分野。「営業状況を毎週報告する際、出向先の上司から『良い報告ばかりでなくてもいい。課題を共有してどう改善するかの場だ』と言われて救われた。航空業界やJALを客観的に見直す機会になった」(榊原さん)と話した。

出向から戻ったJAL客室乗務員の渡邊さん(左)と榊原さんから報告を受ける客室本部長の鳥取常務=22年4月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 鳥取常務は「(出向の成果を)これからどう生かすかを皆さんと考えていきたい。客室の中では学べなかったことや論理的思考、ITリテラシーなどは持ち帰れると思う」と、客室乗務員の本業である保安要員やサービス要員とは異なる領域の経験を乗務に生かして欲しいという。

 「本業は客室乗務職なので、客室乗務もしっかり磨き上げて行くことを前提に、新しいチャレンジに取り組んで持続的な成長につなげたい」(鳥取常務)と述べた。

コロナ後も継続

新型コロナ後の客室乗務員の取り組みを説明するJALの鳥取常務=22年4月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JALは2020年8月から客室乗務員が出身地など全国各地に移住し、地域の魅力を発信する「ふるさとアンバサダー」や、地域に移住せず乗務と並行して活動する「ふるさと応援隊」を同年12月1日に立ち上げ、観光地の魅力発信や名産品の販路拡大など地域活性化に取り組んでいる。また、2021年4月1日からは教育事業、今月1日からはマーケティングリサーチ事業をスタートさせた。

 一方で、足もとの旅客需要は国内線から徐々に回復傾向にあり、復便により運航に必要な客室乗務員の人数が増え、3年ぶりに採用も再開する。鳥取常務は「地域活性化は今後もっと重要になり、ESG経営のひとつだ。コロナが収束後も一定の規模感でやっていきたい」と語り、今後は働き方の工夫などで乗務と地域活性化など乗務とは異なる領域の業務を両立させていく方針を示した。

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