「お預かりした手荷物を回転台にて返却します。非常に似た手荷物があるため、取り間違いのないようにご注意ください」──。国内線で預け入れた手荷物を、到着空港の手荷物受取所で返却を待つ間に、このようなアナウンスを耳にしたことのある人も多いだろう。基幹空港でのアナウンスは日本航空(JAL/JL、9201)の場合、グループ会社でグランドハンドリング(地上支援)業務を担うJALグランドサービス(JGS)が担当している。
JGSは2月15日、到着時の手荷物受取所でのアナウンス技術を競うコンテストを初開催した。社員自らが考案した企画で、基幹空港で手荷物の取扱業務を担うJGSグループ各社から8人が参加し、スキルの向上とグループ各社の連携強化を狙う。
JGSは受託手荷物の搭載や降機など、アナウンスのほか全般を担っている。同社の花田正樹社長は国内線手荷物の受託状況について「肌感覚だが」と前置きした上で、伊丹や福岡などのビジネス客が多い路線では1-2割程度で、8-9割程度が荷物を預けずに機内へ持ち込むという。一方で沖縄などの観光路線では逆転し、8-9割近くが手荷物を預けるようだ。
「拡販」アナウンスも披露
参加したのは羽田と新千歳、伊丹、福岡の各空港の手荷物受取所でのアナウンス業務を担当するJGSグループ各社の8人。アナウンスは日本語と英語の2カ国語で、手荷物が出てくる回転台番号の案内など通常のものに加え、受取所内でのソーシャルディスタンスの確保や、次回利用時に上級クラス「ファーストクラス」や中間クラス「クラスJ」への搭乗を促す「拡販」など、出場者ごとに異なる内容のものでスキルを競った。
会場は羽田空港内にあるJGSの事業所で、羽田所属のJGS社員は対面式でアナウンスを披露。そのほかの拠点にいるグループ社員は、ビデオ会議ツール「Zoom」を通じて出場した。
花田社長「レベル高いアナウンス」
最優秀賞を受賞したのは、羽田を担当するJGSの伊藤由希子さん。伊藤さんは受賞後のあいさつで「手荷物受取所でのアナウンスは、お客さまが最後に聞くアナウンス。『JALのアナウンスは安心だ』と聞いていただけるように、4支店合同で取り組んでいきたい」と話し、スキルのさらなる向上を目指すとした。
また、アナウンスが最も優れていた「アナウンス部門」は、伊丹を担当するJALグランドサービス大阪(JGSO)の川原彩実さんが、最も印象に残った「印象部門」は、福岡を担当するJALグランドサービス九州(JGSQ)の小林暁さんが、それぞれ受賞した。
8人の実技終了後、花田社長は自身の審査の最大点と最少点が2点差だったことを例に挙げ「レベルの高いアナウンスだった」と評価。今回のコンテストは「スキル向上を目指して、社員自らが考えた企画」と満足した様子で振り返ったものの、「もっとバージョンアップしてもらいたい」と、さらなる向上を求めた。
コンテスト参加者(出場順、敬称略)
JALグランドサービス札幌(JGSS)
吉口 徹哉
JALグランドサービス(JGS)
中嶋 亜理佐
堀出 詩織
伊藤 由希子
JALグランドサービス大阪(JGSO)
中野 陸
川原 彩実
JALグランドサービス九州(JGSQ)
古賀 瀬寧
小林 暁
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