企業 — 2021年12月8日 23:59 JST

ANA系avatarin、夜の沖縄美ら海水族館巡り 閉館後の施設活用

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 ANAホールディングス(ANAHD、9202)が出資するavatarin(アバターイン、東京・中央区)は、遠隔操作ロボットを使った瞬間移動サービス「avatarin(アバターイン)」を活用した新サービス「アバターインナイト」を11月29日から沖縄美ら海水族館(国頭郡)で始めた。閉館後の施設内をスタッフによる案内なしにアバターで自由に動き回れるもので、avatarin社の深堀昂CEO(最高経営責任者)は「海外の人が夜中に時差を超えて楽しむこともできる」と話す。また、施設側にとっては閉館後の時間を使った新たな収益機会創出にもつながる。

閉館後の沖縄美ら海水族館にavatarinで東京から”瞬間移動”するavatarin社の深堀昂CEO=21年11月29日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ANAHDは航空事業に次ぐノンエア(非航空)事業の柱の一つとして、アバター事業を2018年4月にスタート。瞬間移動サービスのavatarinは、遠隔地の行きたい場所に設置された遠隔操作ロボット「newme(ニューミー)」を操作することで、その場にいるかのように移動したり、会話ができる。

—記事の概要—
閉館後の施設活用
リアルとは違った鑑賞も

閉館後の施設活用

 今年7月にはnewmeを全面リニューアルして国産化。光回線など通信速度が上り/下り20Mbps以上のインターネット接続環境であれば、フルHDの解像度で60fpsのフレームレートにより、他社のビデオ会議システムよりもなめらかな映像を実現した。また、決済機能をnewme自身が持っており、設置場所に人がいなくても入館料の徴収や物販ができる。

閉館後の沖縄美ら海水族館内の展示パネルの文字も読める=21年11月29日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 美ら海水族館でのアバターインナイトは、11月29日と30日、12月3日、6日、8日、10日、13日、15日に開催。利用者がnewmeを操作し、「サメ博士の部屋」を鑑賞する。1回15分で、希望日の3日前までにアバターインのウェブサイトから申し込む。1回1000円でシステム利用料が別途かかる。

 同館の副館長でサメ博士の佐藤圭一氏は「夜自由に見てもらうことができ、(訪れる人の距離を)なくしてしまう。障害のある人にも機会を提供できれば」と、遠隔地で来館しにくい人や、病気や障害で訪れることができない人に水族館を体験してもらえる可能性に期待を寄せた。

リアルとは違った鑑賞も

 深堀CEOは「旅行では現地での滞在時間の関係で、美術館などでも有名どころしか見られないこともあるが、閉館後の時間であれば名画の隣にある絵を鑑賞することもできる」と、博物館や美術館などを実際に訪れるのとは違った美術鑑賞なども、アバターインナイトの可能性として挙げた。

新サービス「アバターインナイト」について説明するavatarin社の深堀昂CEO=21年11月29日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 これまでの活用例としては、コロナの影響で学会開催が難しくなった乳がん学会が利用し、25台のnewmeを使うことで、実際に人が集まったかのような学会が開かれたという。「ビデオ会議はテレビと同じだが、avatarinは存在感を伝送できる」(深堀CEO)と、映像を見ながら会話するだけでなく、動き回れることからビデオ会議とは違ったコミュニケーションができる。また、コロナで列席が難しい冠婚葬祭などでの活用についても問い合わせがあるという。

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