エアライン, 業績, 解説・コラム — 2021年11月3日 21:14 JST

JAL、22年3月期最終赤字1460億円に 菊山専務「第4四半期からキャッシュインに」

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 日本航空(JAL/JL、9201)が11月2日に発表した2021年4-9月期(22年3月期第2四半期)連結決算(IFRS)の最終損益は1049億7600万円の赤字(前年同期は1612億2600万円の赤字)だった。

 これまで未定としていた2022年3月期通期の連結業績予想は、最終損益が1460億円の赤字(前期は2866億9300万円の赤字)を見込む。JALは前期(21年3月期)からIFRS(国際財務報告基準)を適用。以前の日本会計基準を含めると、通期の最終赤字は2012年9月19日の再上場以来初となった前期から2期連続となる。

 また、非航空系事業強化の一環として、JALUX(ジャルックス、2729)の連結子会社化を同時に発表した(関連記事)。

—記事の概要—
21年4-9月期
1-3月期はキャッシュイン
地方路線回復で通期改善
*ANAホールディングスの4-9月期決算はこちら

21年4-9月期

4-9月期決算を発表するJALの財務・経理本部長の菊山英樹専務=21年11月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 4-9月期の売上高にあたる「売上収益」は前年同期比49.2%増の2906億4700万円、本業のもうけを示す「EBIT(利払い・税引き前損益)」は1518億1800万円の赤字(同2239億7200万円の赤字)と、損失額を約721億円圧縮した。

 売上収益の内訳は、貨物郵便が983億円(前年同期比84.1%増)でもっとも多く、国内旅客899億円(29.2%増)や国際旅客298億円(3.3倍)を上回った。

 財務・経理本部長の菊山英樹専務は「業績回復のめどは立ってきている」と述べた。

 営業費用は4429億円(前年同期比5.6%増、19年同期比34.0%減)。このうち燃油費は589億円(32.0%増、53.8%減)、整備費は344億円(15.8%増、12.2%減)だった。

 JALは営業費用のうち、科目上は固定費となる機材費、人件費、その他の費用の3つを「実質固定費」と定義し、年間5000億円レベルに抑える目標を掲げており、4-9月期は営業費用の約52%(前年同期比7ポイント低下)にあたる2309億円(同186億円減)に抑えた。実質固定費の中で、人件費は1225億円(前年同期比6.4%減、19年同期比18.9%減)となった。

 菊山専務は「雇用調整助成金や受託業務により、トータルで106億円くらいのコスト削減効果があった」と述べた。JALグループ外への出向は、160社程度に約1700人だったという。

1-3月期はキャッシュイン

 9月末の有利子負債残高は、今年3月末より1861億円増えて7012億円。このうち、1年以内に返済期日を迎えるものは662億円(うち航空機リース料160億円)で3月末から33億円減少(同45億円減少)した。自己資本比率は39.3%(3月末比5.6ポイント低下)となった。また、現預金は3月末より353億円減少して3729億円だった。

 菊山専務は「未使用のコミットメントライン(融資枠)3000億円は維持できている。9月に実行したハイブリッド社債(劣後特約付社債)の1500億円は3729億円に含まれている。10月には1500億円を調達済み、11月は500億円を調達予定で、9月から11月で3500億円を調達する」と語った。

 有利子負債の返済額を含む四半期ごとのキャッシュバーンは、4-6月期(第1四半期)が1カ月当たり約100-150億円、7-9月期(第2四半期)が約140億円と推移。菊山専務は「年度の見通し次第だが、第3四半期(10-12月期)に解消し、第4四半期(22年1-3月期)からキャッシュインに転じる」との見通しを示した。

地方路線回復で通期改善

 2022年3月期通期の連結業績予想は、売上収益が前期(21年3月期)比59.2%増の7660億円、EBITが1980億円の赤字(前期は3983億600万円の赤字)、最終損益が1460億円の赤字(同2866億9300万円の赤字)を見込む。

 旅客需要は、国内線が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響前の2019年同期比で第1四半期の平均が29.2%、第2四半期が34.0%、第3四半期が約65%で、第4四半期は約90%まで回復すると見込む。国際線は第1四半期平均が6.2%、第2四半期が8.1%、第3四半期が約10%で、第4四半期は約20%に回復する見通し。

 菊山専務は「地方発の需要が回復するペースが速くなっている」と、国内線が第4四半期に大幅回復するとの見通しの根拠として、地方路線の需要回復を挙げた。

 一方で、今後は旅客需要回復に伴い、旅客機に乗客を乗せず貨物だけを運ぶ「貨物専用便」は設定が難しくなっていく。JALは自社で貨物機を保有せず、米国のカリッタ航空(CKS/K4)など貨物機を運航する航空会社とコードシェア(共同運航)を行っている。菊山専務は「(貨物機を運航する)提携会社と供給体制強化を需要動向を見ながら考えたい。自前(の貨物機導入)はないが、あらゆる知恵を絞っている」と語った。

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