エアバス・ベンチャーズは10月26日、民間月面探査事業に取り組む宇宙スタートアップ企業ispace(アイスペース、東京・港区)に投資すると発表した。最初のミッションとして、同社が開発した月面ランダー(着陸船)を、スペースX社のファルコン9により2022年後半に打ち上げを予定している。
ispaceは、ロボット月面探査レース「グーグル・ルナ・エックスプライズ(Google Lunar XPRIZE)」で最終選考に残った月面ローバー(探査車)の開発実績を基に、月面ランダー「シリーズ1」による初の月面着陸を目指している。ランダーは日本で設計したもので、現在が欧州で最終組立が進んでおり、米国で打ち上げられる。
最初のミッションでは、月面ランダーでJAXA(宇宙航空研究開発機構)やアラブ首長国連邦のムハンマド・ビン・ラシード宇宙センター(MBRSC)、日本やカナダの民間企業の物資を運ぶ計画となっている。ispaceは2023年までに2回実施する月面探査ミッションを統括するプログラムを「HAKUTO-R」と名付けており、史上初の民間企業による月面探査となる。
ispaceによると、今回のエアバス・ベンチャーズによる投資を含めるとこれまでに総額約218億円(約2億ドル)を調達し、今後の打ち上げなどに充てるという。
エアバスのベンチャーキャピタルであるエアバス・ベンチャーズはシリコンバレーに本社を、日本と仏トゥールーズにオフィスを設置。航空宇宙産業に影響を与える世界中のスタートアップ企業に投資している。
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