近年人気の工場見学。航空会社の整備工場も人気の的だ。日本航空(JAL、9201)では、あす7月22日に見学施設を「スカイミュージアム」としてリニューアルオープンする。これまで社内でのみ用いてきた1951年の会社設立以降の史料展示や、フライトを支える運航乗務員や客室乗務員、整備士、空港係員、グランドハンドリング・貨物係員の計5職種の仕事を紹介するコーナーなどを新たに設けた。
JALでは社会貢献活動(CSR)の一環として、機体整備工場の見学を1950年代半ばから無償で実施。2012年度の来場者数は9万2899人に上った。工場見学ブームなどで来場者が増えると共に、施設の古さや展示物の少なさについて改善を求める声が寄せられていた。
リニューアルの検討は昨年秋から本格的にスタート。航空教室など講義を行う部屋の位置を見直し、窓のある明るい部屋を用意した。運航乗務員など5職種を紹介する「仕事紹介エリア」は、吹き抜けのある建物中央に設置し、自然光と紹介コーナー中央に配した樹木が柔らかい雰囲気を演出している。樹木には隣接する格納庫で整備作業を行う整備士が、毎日水をやっているという。
同エリアでは職種ごとの七つ道具や、コックピット、客室乗務員用シート、ボーイング777-200型機のタイヤ、チェックインカウンター、767用のLD-2貨物コンテナをカットしたものなどを、各職種のコーナーごとに展示。グランドハンドリングのコーナーでは、航空機を誘導するマーシャラーの仕事を体験できる。パドルを手にモニターの前で両腕を動かすと、誘導の善し悪しが判定されるコンテンツが用意されており、マイクロソフトの動作・音声認識コントローラー「キネクト」が用いられている。
見学施設は仕事紹介コーナーのほか、歴代制服や航空機の模型など、会社設立以来の史料を展示する「アーカイブズエリア」、新シートやサービスを紹介する「新商品・サービスエリア」、制服の背中の部分をカットしたことで容易に着用できる「制服体験エリア」を用意した。
アーカイブズエリアでは、JALの歴史を50メートル超の壁面で紹介する大年表が目を引く。皇族を乗せた皇室フライトや救援チャーター便など特別フライトの歴史をまとめたコーナー、JALや旧日本エアシステム(JAS)のアイテムの中でデザイン性に優れたポスターや記念品、時刻表などを展示するコーナーなどを設けた。
展示史料の中には、1990年代から2000年代にかけてJALが行ったリゾート路線キャンペーン「リゾッチャ」のグッズなど、直近のものも展示している。
JALでは4カ月に1度程度のペースで、展示内容の一部を入れ替えたり、テーマを決めて企画展示も行いたいという。現在の企画展示は日本航空機製造YS-11型機の模型展示で、比較的まとまった種類が保管されていたことから展示を決めたという。
スカイミュージアムでの工場見学の内容は、航空教室30分、展示20分、格納庫見学40分の計約90分間。開催日は年末年始を除く毎日で、午前10時と午前11時、午後1時、午後3時の1日4回開催する。予約開始日は見学日の半年前の午前9時半からで、JALのウェブサイトの見学申し込みページから申し込む。対象は小学生以上で、料金は無料。