大韓航空(KAL/KE)は、旅客機を貨物機に改修した「貨物転用旅客機」について、運航回数が1万回に到達したと現地時間8月1日に発表した。現在は日本を含む世界65路線で運航し、総輸送量は40万トンを越えている。
同社は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による旅客機の運航制限を受け、2020年9月からボーイング777-300ERの座席を外して旅客機を貨物機として運航できるように改修。新型コロナの影響が出始めた同年3月は、月間の運航回数が38回だったが、現在は月800回以上を運航している。これまでに防護服やマスク、診断キットなどを含め、インドや米国、インドネシアなど各地へ輸送した。
大韓航空は貨物転用旅客機を、座席を外した「CFL」(Cargo Floor Loading)タイプと、座席を残したまま荷物を搭載する「CSB」(Cargo Seat Bag)タイプの2種類を運航している。座席を取り外したCFLは16機で、777-300ERは10機、エアバスA330-300型機は6機改修済み。CSBタイプは777-300ERのみで、2機を貨物機として運航している。
また、通常の貨物専用機も23機保有。内訳は777Fが12機、747-8Fが7機、747-400Fが4機となる。
大韓航空の2020年12月期決算(暫定実績)は、純損益は2281億ウォン(約219億円)の赤字(19年は5687億ウォンの赤字)だったが、貨物事業が好調だったことなどにより、営業利益は前年比17%減の2383億ウォン(約229億円)と黒字だった。
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3-4段落目に、大韓航空の貨物機の現状を追記しました。(21年8月6日 17:15 JST)