春秋航空日本(SPRING JAPAN、SJO/IJ)は7月2日、日本航空(JAL/JL、9201)のグループ会社となって最初の運航便となった成田発札幌(新千歳)行きIJ833便(ボーイング737-800型機、登録記号JA01GR)を王煒(ワン・ウェイ)会長らが見送った。今後3年間は最大9機の737-800で、2023年度の黒字化を目指す。
春秋航空日本は、成田空港を拠点として2014年8月1日に就航。中国最大のLCCである春秋航空(CQH/9C)の子会社として発足し、JALはこれまで出資比率で約5%の出資にとどめていたが、議決権ベースで66.7%に高めて過半数を取得し、6月29日に連結子会社化した。春秋航空は33.3%の出資となる。JALグループで中国に特化したLCCとして、現在は直行便が就航していない中国の人口4000万人から10万人規模の都市への就航を検討していく。
機材はボーイング737-800型機(1クラス189席)を6機保有。成田空港から国内線は札幌、広島、佐賀の3路線、国際線はハルビン、寧波、上海、南京、重慶、武漢、天津の7路線を開設しているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で一部路線を運休。運航日も週末の金曜と土曜、日曜に集約している。JALグループ入り後、最初に運航便があるのが7月2日となった。
ワン会長は、「日中の架け橋として日中間の国際線をメインにしていきたい」と、これまでと同じく路線網は日本と中国本土を結ぶ国際線を中心に展開していく方針を示した。春秋航空日本は2018年6月6日からJALの整備子会社JALエンジニアリング(JALEC)へ航空機の管理を含む包括的な整備業務委託を始めており、JALとの連携は「コロナで早めた」(ワン会長)と述べた。
進俊則副社長は、今後の機材計画について「6機では黒字化は難しいという結論になった。3年間で9機体制まで持っていけるようにしたい」と述べ、モデルチェンジにより新造機の導入が難しい737-800の中古機導入を検討していく。「債務超過はまだ解消していない。2023年度には黒字化したい」(進副社長)と語った。
JALグループ入りしたことで、春秋航空日本はJALが2010年の経営破綻後に導入した部門別採算制や、全社員が持つべき価値観や考え方を示した「JALフィロソフィ」の教育などを進めていく。
2日の成田発札幌行きIJ833便は、乗客72人(幼児1人含む)を乗せ、午後3時に出発した。乗客が搭乗する際時には、パイロットや客室乗務員、JALECの整備士らが記念品を手渡した。
JALは春秋航空日本を子会社化したことで、中国特化型LCCの同社のほか、100%出資する中長距離LCCのZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)、50%出資するカンタス航空(QFA/QF)系のジェットスター・ジャパン(JJP/GK)の3社で、成田を拠点に異なる市場を取り込んでいく。2025年度には、3社による売上規模をコロナ前の2019年度比で約2倍に成長させる。
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