木くずや微細藻類を原料とする国産のSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)の技術開発に取り組むNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は6月18日、NEDOの事業で民間企業が製造したSAFを日本航空(JAL/JL、9201)と全日本空輸(ANA/NH)が17日の国内線定期便に使用したと発表した。
国産SAFの対象便は両社1便ずつで、いずれも通常のジェット燃料と混合して使用。JALが17日の羽田発札幌(新千歳)行きJL515便(エアバスA350-900型機、登録記号JA03XJ)、ANAが同日の羽田発伊丹行きNH31便(ボーイング787-8型機、JA832A)で、JL515便のSAFは木くずから製造されたものと微細藻類由来のものを混合し、NH31便のSAFは微細藻類から作られたもののみ使用した。
いずれの国産SAFも航空燃料の国際規格に適合することを確認しており、木くず由来は「ASTM D7566 Annex1」、微細藻類由来は「ASTM D7566 Annex7」に適合している。
17日に使用した国産SAFのうち、木くず由来は三菱パワーと東洋エンジニアリング、JERAの3社、微細藻類由来はIHI(7013)が製造。JALのJL515便は使用燃料約8700リットルのうち、木くず由来のSAFを2195リットル(25%)、微細藻類由来を938リットル(11%)使用した。ANAのNH31便は使用燃料約5000リットルのうち、微細藻類由来のSAFを988リットル(20%)使った。国産SAFはタンクローリーから、通常のジェット燃料は地上設備からそれぞれ給油した。
JALの国産SAFを2種類同時に使用したフライトは日本初で、ANAのフライトはASTM D7566 Annex7規格に基づくSAFを搭載した世界初の商業フライトになったという。
SAFは従来「バイオ燃料」と呼ばれていたもの。これまでの植物油などに加え、さまざまな原料から製造されるようになり、IATA(国際航空運送協会)が呼称を改めた。
運航実績
JL515 羽田(12:30/12:32)→札幌(14:05/14:08)
NH31 羽田(15:00/15:05)→伊丹(16:05/16:12)
・JAL、古着から国産バイオ燃料 787で初運航(21年2月4日)
・ANA、バイオ燃料で定期便運航開始 CO2を9割削減(20年11月6日)
・エアバスとサフランら、100%代替燃料でA320neo飛行調査 年末に開始(21年6月11日)
・ユーグレナ、自社バイオ燃料で初フライト 国交省の飛行検査機CJ4で(21年6月7日)
・エアバス、ベルーガにSAF使い初飛行 食用油由来燃料でCO2削減へ(21年4月13日)
・エアバスとロールス・ロイス、代替燃料のみでA350試験飛行 NESTE製SAFで(21年3月18日)
・ボーイング、民間機に100%持続可能燃料 2030年までに実現目指す(21年1月26日)
・ANAや東芝ら6社、排ガスから代替燃料「SAF」 ビジネスモデル検討開始(20年12月3日)
・ロールス・ロイス、100%SAFで次世代エンジン試験へ(20年11月24日)