官公庁, 機体 — 2021年6月16日 21:45 JST

JAXA、超音速機技術の実用化へ協議会設置 国際共同開発の参画視野

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 JAXA(宇宙航空研究開発機構)は6月16日、JADC(日本航空機開発協会)とSJAC(日本航空宇宙工業会)、三菱重工業(7011)、川崎重工業(7012)、SUBARU(7270)、IHI(7013)の7者で、2030年ごろに予想される超音速機の国際共同開発への参画を目指し、協力体制を実現するためのJSR(Japan Supersonic Research)協議会を設置したと発表した。

超音速旅客機のイメージイラスト(JAXA提供)

 現在の旅客機では日本から欧州や米東海岸まで12時間以上かかるが、超音速機が実現すると半分の6時間ほどになる。超音速機は飛行時間を大幅に短縮し、航空輸送に大きな変革をもたらす反面、実現には経済性や環境適合性などの観点でさまざまな技術的課題がある。JAXAでは、経済性の面で空気抵抗を下げて燃費を向上する技術の実証や、環境面で超音速飛行時に生じる「ソニックブーム」を低減する研究を進めてきた。

 燃費を改善する超音速機の機体形状を適用した小型超音速実験機「NEXST-1」を使い、2005年に豪州で飛行実験を実施。英仏が共同開発した「コンコルド」と比べ、空気抵抗を約13%低減できる技術を実証した。

 ソニックブームは「ドン、ドーン」と打ち上げ花火や落雷のような音を伴う衝撃波。JAXAはこれを低減させる機体形状の設計概念を適用した低ソニックブーム設計概念実証機「D-SEND#2」を用いて、2015年にスウェーデンで実施した飛行実験で、コンコルドと比べて半減できる技術を実証している。

 7者は我が国の超音速機技術の研究開発を連携して進めていくための協定を今年3月31日に締結。JAXAによると、これまでの研究成果を実用化する体制面での課題があったものの、JSR協議会を発足させたことで、JAXAと産業界が連携して研究開発を進める体制が構築できるようになったという。

 海外の超音速機の動向をみると、米Boom Technology(ブーム・テクノロジー、本社デンバー)が開発中の超音速旅客機「Overture(オーバーチュア)」を、ユナイテッド航空(UAL/UA)が6月3日に15機発注。35機のオプション(仮発注)付きで、2029年の商業運航開始を目指す(関連記事)。

 オーバーチュアはビジネスクラス相当の座席が65-88席。アフターバーナーなしで現在の旅客機の約2倍となるマッハ1.7で飛行でき、ニューヨーク近郊のニューアーク-ロンドン間を3時間半、サンフランシスコ-東京間を6時間で結べるようになる見込み。Boomには日本航空(JAL/JL、9201)や英ヴァージン・グループが出資しており、JALも将来の優先発注権を20機分確保している。

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