全日本空輸(ANA/NH)は4月17日、関西空港発着で総2階建ての超大型機エアバスA380型機「FLYING HONU(フライング・ホヌ)」による遊覧飛行を初開催した。大阪府などに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大抑制策を講じる「まん延防止等重点措置」が適用されたことで開催が危ぶまれたが、報道機関による取材をANAとしては受け入れないなどの対策を新たに講じて開かれた。関空は2日間の開催で、18日も実施する。A380の拠点としている成田空港以外での遊覧飛行は、今回が初めてとなった。
機材は現在2機あるA380のうち、青色の初号機(登録記号JA381A)を使用。雨が降る関西空港を正午前に出発し、午後4時ごろ戻る約3時間30分ほどのフライトだった。関空ではグランドスタッフ(地上係員)のほか、整備士などさまざまな職種の社員が横断幕を手に参加者を見送った。
フライトは関空を出発して北海道へ北上するコースと、奄美大島へ南下するコースの2つが用意され、いずれもカメをイメージしたルートだった。17日は南下するコースが選ばれ、関空を出発後は淡路島、姫路、舞鶴、米原、小牧、白川町、立山、富山、金沢、小松、鳥取、出雲、福岡、熊本、鹿児島、奄美大島と南下し、喜界島から宮崎沖、高知、徳島を巡って関空へ戻った。
機内はハワイをイメージした照明を取り入れるなど、ハワイを感じられるよう演出された。機内食もハワイ路線と同じものを提供した。
海外の航空会社が運航するA380には何度か乗ったことがあり、ANAの機体は初めてという大阪府の40代男性会社員は、2階席となるプレミアムエコノミーを利用。「広くて静か。客室乗務員も普段よりフレンドリーな接客で楽しめた」と、Aviation Wireの電話取材に応じた。男性は成田で開かれている遊覧飛行も毎回のように申し込んでいたが、落選続きだったという。「地元開催で当選してうれしい。次回はビジネスクラスやファーストクラスに乗りたい」と話していた。
男性によると、関空へ到着後も社員が見送りをしていたといい、「ほぼ等間隔にいろいろな職種の人が見送っていた。最後までおもてなしがあって良かった」と喜んでいた。
ANAのA380の座席数は4クラス520席で、ファーストクラスが8席、ビジネスクラスが56席、プレミアムエコノミーが73席、エコノミーが383席。関空発着の1人あたりの旅行代金は、ファーストクラス席が11万2000円、ビジネスクラス席が窓側7万3000円、通路側6万8000円、プレミアムエコノミー席が窓側5万4000円、通路側4万9000円、エコノミークラス席が窓側4万9000円、窓側(翼の上)4万7000円、通路側4万4000円だった。ANAによると、遊覧飛行の参加者は230人(幼児3人含む)で、乗員はパイロット2人と客室乗務員21人だった。また、抽選販売の倍率は約5倍だったという。
ANAは18日にも関空発着でA380の遊覧飛行を実施。翌週24日と25日は中部空港(セントレア)で開催するが、愛知県に「まん延防止措置」が適用されたため、ANAによる取材対応はなくなった。
*写真は23枚。
関連リンク
全日本空輸
・ANAのA380、初の重整備終え成田帰着(21年3月27日)
・ANAのA380、関空・中部でも遊覧飛行 青い初号機、4月週末に(21年3月8日)
写真特集・ANA A380 FLYING HONUの機内
(1)個室ファーストクラスでプライバシー確保(19年5月21日)
(2)ペアシートもあるビジネスクラス(19年5月22日)
(3)2階後方にゆったりプレエコ(19年5月23日)
(4)カウチシートもあるエコノミー(19年5月24日)
【お知らせ】
ANAから参加者数と乗員数の発表があり本文に反映しました。(21年4月17日 23:40 JST)