羽田空港のターミナルを運営する日本空港ビルデング(9706)は2月17日、公募増資などで最大614億円を調達すると発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で国際線と国内線ともに旅客数が大幅に落ち込んでいるが、ターミナル改修などの投資を計画していることから財務基盤を固める。
新株発行は普通株50万7900株で、国内外で公募。自社保有する普通株324万株も公募により処分する。価格は3月1日から3日までに決まり、払込期日は決定から4営業日後としている。申込株数単位は100株。オーバーアロットメントによる売り出しも125万2100株を上限に実施を予定している。
今回調達する資金は、第1ターミナル北サテライトの新設工事に200億円、第2ターミナル本館と北サテライト接続工事に300億円、第1と第2ターミナルの安全対策など改修工事に188億円、第3(旧称国際線)ターミナルのビジネスジェット専用施設の整備に10億円を投資。残額が生じた場合は、全額を借入金返済資金に充当する。
1タミ北サテライトの新設工事と2タミの接続工事は、いずれも11月に着工して2024年3月に完了予定。1タミと2タミの改修工事は2020年4月に着工しており、2024年3月の完了を予定している。ビジネスジェット専用施設は今年1月に着工しており、7月にも供用を開始する。
空ビルは17日に、2021年3月期通期の連結業績予想を下方修正。利益は据え置いたが、売上高を前回2020年11月5日発表の610億円から555億円に55億円(9.0%)下方修正した。据え置きの利益は、営業損益は580億円の赤字(20年3月期は98億9200万円の黒字)、経常損益は555億円の赤字(同87億500万円の黒字)、純損益が350億円の赤字(同50億1200万円の黒字)となる見通し。
空ビルによると、1-3月期(第4四半期)の国内線旅客数は、新型コロナの影響が深刻化する前と比べて約70-80%減少し、国際線は現状と同水準にとどまると想定している。
羽田空港
・羽田空港、ビジネスジェット新専用施設7月開業へ 国際線エリア(21年1月8日)
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・羽田イノベーションシティが先行開業 飛行機眺めて足湯も(20年7月4日)
・ANA、羽田2タミ国際線就航 乗客4人の便も、新型コロナ影響(20年3月29日)
・羽田空港、2タミ国際線施設オープン 滑走路一望、ANAが乗り入れ(20年3月29日)
・【空撮】緊急事態宣言後の羽田空港、ANAとJAL大型機並ぶ 4月入り予約減(20年4月8日)
決算
・日本空港ビル、最終赤字264億円 20年4-12月期
・日本空港ビル、通期は最終赤字350億円に 4-9月期228億円損失(20年11月9日)
・日本空港ビル4-6月期、最終赤字97億円 旅客数一時9割超減(20年8月11日)
・日本空港ビル、20年3月期純利益85%減 通期予想見送り(20年6月8日)