昨年12月4日に那覇空港を離陸直後、左エンジンに不具合が発生した日本航空(JAL/JL、9201)のボーイング777-200型機(登録記号JA8978)が2月16日夜、羽田空港へ戻った。左エンジンのファンブレード2枚が破損したため、引き返した那覇で修理したため、羽田へ戻ったのは約2カ月半ぶりとなった。
JA8978は、米プラット&ホイットニー(PW)製エンジンPW4000シリーズのPW4074を左右に1基ずつ計2基搭載。2020年12月4日に羽田行きJL904便として那覇を午前11時34分に出発したが、離陸後に空港から北約100キロの地点を飛行中、左エンジンの不具合が見つかり同53分に緊急着陸を宣言し、午後1時26分に那覇へ戻った。乗客178人(幼児3人含む)と乗員11人の計189人が搭乗していたが、けがはなかった。
国の運輸安全委員会(JTSB)が機体を調べたところ、左エンジンに22枚あるファンブレードのうち2枚に損傷が見つかった。2枚のうち16番ブレードは根元付近から、15番ブレードが中ほどから破損していた。国土交通省航空局(JCAB)は航空事故につながりかねない「重大インシデント」として認定し、同型エンジンの搭載機を運航するJALと全日本空輸(ANA/NH)に緊急点検を指示した。メーカーであるPWが実施する検査の間隔も、従来の半分にあたる飛行回数3250回ごとに短縮している。
那覇で修理を終えたJA8978は、2月16日午後4時52分に那覇をJL4692便として出発。羽田には午後7時2分に到着した。乗客を乗せない貨物専用便として運航し、羽田に着くと貨物コンテナなどが機体から降ろされ、機体後方左側ドアにも地上支援車両が付けられていた。また、機体やエンジンを整備士たちが点検していた。
JA8978は、合併前の日本エアシステム(JAS)が1997年に受領した機体で、合併後のJALでは国内線機材として運航。JALは777の後継機であるエアバスA350 XWBへの置き換えを進めており、国内線の777は2022年度末に全機退役する。
関連リンク
日本航空
JA8978
・JALの777ファンブレード損傷、1枚は疲労破壊か 運輸安全委(20年12月30日)
・JALの777、ファンブレード2枚損傷 同型エンジン点検、問題なし(20年12月7日)
・JALの777、那覇空港へ緊急着陸 左エンジン不具合で(20年12月4日)
・日航、2020年五輪の東京招致を特別塗装機で応援(12年11月21日)
JALの777
・JAL、国内線クラスJに”フルフラットシート” 777退役まで2年限定(21年2月6日)
・JAL、A350は14機体制に 21年度国内線、777は早期退役(21年1月19日)
・JAL、国内線777を22年度末全機退役 A350へ刷新、ZIPAIRに787を2機移管(20年10月30日)
・JALの777-200ER退役機、2機目も鶴丸のまま離日 新型コロナ、売却に影響も(20年9月14日)
・JAL、初の777-200ER退役機が鶴丸ロゴのまま離日 JA704Jがビクタービルへ(20年7月1日)
旧JASの777
・旧JASの777初号機、”白塗り”で売却先へ レインボーセブン初の退役機(20年8月26日)