ロールス・ロイス(RR)は現地時間2月1日、ビジネスジェットエンジン向けでは初となるSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)を100%利用した試験を実施した。ダーレヴィッツで開発中の最新ビジネスジェットエンジン「パール700(Pearl 700)」を使用した。RRによると、SAFを既存のジェット燃料と混合せずに同社製エンジンで使用できることが今回改めて実証され、SAFの認証取得に向けた基盤が作られたとしている。
パール700は、ガルフストリームが2019年10月に発表した最新鋭ビジネスジェットG700向け。ビジネスジェット市場ではもっとも効率の高いというアドバンス2エンジンのコアと、最新の低圧システムを組み合わせた。離陸推力は1万8250ポンドで、BR725との比較では8%増となった。出力重量比を12%、効率を5%向上させながら、騒音と排気はクラストップの性能を維持しているという。
SAFは従来「バイオ燃料」と呼ばれていたもので、これまでの植物油などに加え、さまざまな原料から製造されるようになり、IATA(国際航空運送協会)が呼称を改めた。現在、既存のジェット燃料に50%を上限として混合使用する用途で認証を受けており、ロールス・ロイスの既存エンジンもすべて利用できる。
試験に使われたSAFは、低炭素燃料を専門とする米カリフォルニア州パラマウント市のワールド・エナジー社が製造し、シェル・アビエーションが調達してSkyNRGが輸送を担当。この燃料は既存のジェット燃料と比べ、ライフサイクルでの正味CO2排出量を75%以上削減する可能性を秘めており、将来的にはさらなる削減が見込まれているという。
ロールス・ロイスは、2050年までにネットゼロカーボン(CO2排出量実質ゼロ)の達成に向けた取り組みを進めている。SAFを100%使ったボーイング787型機向けエンジン「Trent 1000(トレント1000)」の地上試験を、英ダービーでこのほど成功させている。
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Pearl 700 (Rolls-Royce)
Gulfstream G700(Gulfstream)
Pearl700
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SAF
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