エアライン, 業績 — 2021年2月1日 22:39 JST

JAL、通期純損失3000億円に 4-12月期は2127億円

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 日本航空(JAL/JL、9201)が2月1日に発表した2020年4-12月期(21年3月期第3四半期)連結決算(国際会計基準)の最終損益は、2127億2200万円の赤字(前年同期は748億4200万円の黒字)だった。2021年3月期通期の連結業績予想は下方修正し、3000億円の最終赤字を見込む。これまでは2400-2700億円の赤字を想定していたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で旅客需要の減少が続いているため、現時点の国内線予約状況や季節要因を基に下方修正した。

緊急事態宣言による需要減退で1日から再び閉鎖されたJALの羽田空港第1ターミナル北ウイング自動手荷物預け機コーナー=21年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire=21年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
4-12月期
通期予想
出向は1000人規模
*ANAの決算ははこちら

4-12月期

 4-12月期の売上高にあたる「売上収益」は前年同期比68.0%減の3565億4800万円、営業損益に代わる指標となる「EBIT(財務・法人所得税前利益)」は2941億7900万円の赤字(同1146億4200万円の黒字)となった。今年度内に予定している新中期経営計画の公表時期は、新型コロナの感染状況やワクチンの動向などの要因を見極めながら検討していく。

 1日にオンラインで会見したJALの菊山英樹専務は、「固定費削減が第2四半期終了時よりも進んだが、11月からGoToトラベルの一時停止で想定より下がった」と述べ、固定費の圧縮が進んだ一方で、夏以降は回復基調だった国内線旅客需要がGoToトラベルの一時停止による需要減退で失速し、下振れ要因となった。

 一方、貨物については「第3四半期は見通しに対して100億円増収だった。第4四半期も同じくらいの好調さは見込めるだろう」(菊山氏)と、堅調さを示した。菊山氏によると、中国から日本経由で米国へ向かう積荷は半導体などで、日本発は自動車関連、米国や東南アジア発は生鮮品、欧州発はサーモンやチーズといったものが多いという。

通期予想

 下方修正後の2021年3月期通期の連結業績予想は、最終損益が3000億円の赤字(20年3月期は534億700万円の黒字)。売上収益は4600億円(前回予想は5300-6000億円)、EBITは4200億円(同3300-3800億円)の赤字を見込む。

 期末の財務状況の予想は、総資産が2兆1000億円(前期末より1177億円増加)、現金及び預金が3700億円(408億円増加)、自己資本が9300億円(842億円減少)、自己資本比率が44.3%(6.9ポイント低下)、D/Eレシオは0.5倍(前期末は0.3倍)を想定している。

 第3四半期の収支は計画を約100億円上回ったものの、第4四半期は500億円の悪化を想定しており、下期としては400億円下回る見込み。国内線旅客の動向について、菊山氏は「1-3月は厳しい状況を想定している。1月の旅客需要は前年の24%程度、2月は20%程度、3月は30%程度」と見通しを示した。

 「これらの見通しは、緊急事態宣言が解除される/されないといった想定は一切置かないもの。現在の予約状況と、季節偏差で想定している」(菊山氏)と説明した。

 黒字化の目安となる需要回復の規模については、従来の値を踏襲。「国内線はコロナ前の80%、国際線は50%まで戻れば黒字化できる。いつ、どのくらいのスピードで戻るかにかかっている」(同)とした。

出向は1000人規模

 また、社員の出向状況について、総務本部長の植田英嗣常務は、「物流や教育、コールセンターなど約40の企業などと出向関係が成立している。1日単位から年単位までさまざまだが、1000人程度の出向」と説明した。

 大量減便や運休に伴い、客室乗務員に対してはビデオ会議システム「Zoom」を使ったスキルアップ教育を進めてきた。減便の長期化影響について、植田氏は「客室本部ではSDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)の教育など、新しいコンテンツを制作している」と述べ、地域の魅力を発信する「ふるさとアンバサダー」や出向と並行して、テレワーク教育を進めていくという。

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