日本航空(JAL/JL、9201)の100%子会社で中長距離国際線LCCのZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)は10月26日、洋上を長時間飛行する際に必要な航空当局の承認「ETOPS(イートップス)」を国土交通省航空局(JCAB)から取得したと正式発表した。25日開始の冬ダイヤからETOPS運航が可能になった。
ETOPSは、エンジンが1基停止しても洋上飛行が一定時間可能になる承認で、ZIPAIRは米GE製エンジンGEnx-1B70を2基搭載するボーイング787-8型機に対する承認を5日に取得。エンジン単発でも最大180分(3時間)飛行できるようになった。冬ダイヤ期間に計画しているホノルル就航や、今後の目標とする米国本土乗り入れに向けて前進した。
主に双発機を対象にした承認であるETOPSは、「長距離進出運航(Extended-range Twin-engine Operational Performance Standards)」の意味で、着陸に適した空港からの飛行時間が60分を超える地点を含む経路の運航を指す。洋上は陸地上空や陸地に沿って飛行する場合と異なり、着陸に適した空港が経路上に多く存在しないことから、ETOPSを取得する必要がある。
ZIPAIRの787-8は、座席数が2クラス290席。フルフラットシートを採用したビジネスクラスにあたる「ZIP Full-Flat(ジップ・フルフラット)」が18席、エコノミークラス「Standard(スタンダード)」が272席となる。個人用モニターは両クラスとも装備していないが、機内Wi-Fiは備えており、スマートフォンやタブレットから機内食や機内販売品を注文できるほか、映画などのコンテンツ視聴も計画しており、付帯収入と顧客満足度の獲得を目指す。
現在2機ある787-8は、いずれもJALが運航していた機体で、同社からのリース機。今回の承認により、2機ともETOPS運航できる。
関連リンク
ZIPAIR Tokyo
日本航空
本紙初報
・ZIPAIR、787のETOPS取得 太平洋横断可能、西海岸就航へ前進(20年10月8日)
写真特集・ZIPAIR 787-8の機内
(1)フルフラット上級席ZIP Full-Flatは長時間も快適
(2)個人用モニターなし、タブレット置きと電源完備のレカロ製普通席
(3)LCC初のウォシュレット付きトイレ
特集・赤坂社長に聞くJALと新型コロナ
前編「国内線回復は2021年」
後編 “二刀流社員”で反転攻勢
ZIPAIR
・ZIPAIR、バンコク発旅客便28日就航 片道のみ週5便、貨物も継続(20年10月19日)
・ZIPAIR、成田-ソウル旅客便就航 初便乗客は2人(20年10月16日)
・ZIPAIR、ハワイで国際線ノウハウ蓄積 JAL赤坂社長「市場大きい」(20年10月7日)
・ZIPAIR、スマホで機内食注文 機内Wi-Fi活用、LCC初セルフオーダー導入(20年10月2日)
制服発表
・スニーカーで働きやすく 特集・ZIPAIR制服お披露目(19年4月13日)
機内の動画(YouTube Aviation Wireチャンネル)
・ZIPAIR 787-8 JA822J機内公開 フルフラットシートも