ピーチ・アビエーション(APJ/MM)は10月21日、中部空港(セントレア)へ就航すると発表した。12月24日から札幌(新千歳)線を1日2往復、仙台線を1往復運航する。中部では第1ターミナルを使用し、将来的にLCC専用の第2ターミナルへの移転も検討する。
運賃は中部-札幌線が大人1人片道4690円から、仙台線が4990円から。航空券の販売は21日午後4時から始めた。機材はエアバスA320型機(1クラス180席)で、中部に夜間駐機する。今後は鹿児島や那覇など西日本への就航も検討する。
札幌線の運航スケジュールは、朝便の札幌行きMM461便が中部を午前8時30分に出発して、午前10時15分着。中部行きMM462便は午前10時55分に札幌を出発し、午後0時45分に到着する。夜便の札幌行きMM463便は中部を午後5時25分に出発して、午後7時10分着。中部行きMM464便は午後8時5分に出発し、午後9時55分に中部へ到着する。
仙台線は、仙台行きMM491便が中部を午後1時35分に出発して、午後2時40分着。中部行きMM492便は午後2時10分に仙台を出発し、午後3時25分に中部へ到着する。
関西空港を拠点とするピーチは、2012年3月の就航以来、これまで中部には就航したことがない。21日に愛知県の大村秀章知事を表敬訪問し、会見したピーチの森健明CEO(最高経営責任者)は、「ピーチは国際線が4割で、このうちインバウンドが7割を占め、国際線収入が期待できない。国内線にシフトし、ピーチの空白エリアをなくす」と述べ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で国際線の需要回復が1年以上かかることから、国内線の路線拡大を前倒ししたと説明した。
中部就航で長野県などの利用者もカバーでき、空港までの距離を片道2時間とした場合に、国内の空白地帯はほぼ埋まるという。「札幌へちょっとラーメンを食べに行きたいといった、旅行というより気軽に出掛けられるようにしたい」(森CEO)と、LCCによる新規需要の開拓に意欲を示した。
大村知事は「明るい話題。新型コロナは必ず収まるので、さらなる路線展開をサポートしたい」と述べ、県独自の観光需要喚起策などで側面支援していくという。
ピーチは中部のターミナルのうち、同じくANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下の全日本空輸(ANA/NH)と同じ第1ターミナルに乗り入れる。森CEOは「グランドハンドリング(地上支援)などをANAグループに委託しているので、リソースを活用できる第1にした。今後第1が混雑してくれば、第2ターミナルへの移転も検討したい」と述べた。
一方、ANAとの路線のすみ分けについては、「今すぐどうするというものはないが、同じグループなので出来ることは協力する」(森CEO)と語った。また、パイロットや客室乗務員の基地化については、「路線数によるので、規模に応じて考えていきたい」と述べた。
中部空港を運営する中部国際空港会社の犬塚力社長は、「セントレアへの大きなクリスマスプレゼント。需要が回復してくれば第2ターミナルも(航空会社が)戻ってくると思う」と語り、「条件が整えば移転していただけるのでは」(犬塚社長)とピーチの移転に期待を寄せた。
ピーチは11月の運航計画で、国内線は計画の83%を運航。26路線中13路線は全便を運航する。運休が続く国際線も、冬ダイヤ初日の10月25日から台北(桃園)3路線を再開。関西と羽田、成田から週3往復ずつ運航する。
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ピーチ・アビエーション
中部国際空港 セントレア
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