日本航空(JAL/JL、9201)が100%出資する国際線中長距離LCCのZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)は9月12日、就航を延期していた成田-ソウル(仁川)線を貨物専用便で開設した。6月に同じく貨物便で運航を始めた1路線目の成田-バンコク(スワンナプーム)線に続く2路線目で、月曜と金曜を除く週5往復運航する。旅客便の就航時期は早ければ9月月内を目指す。
運航スケジュールは、ソウル行きZG41便は成田を午前9時15分に出発し、午前11時50分着。成田行きZG42便は午後1時30分にソウルを出発し、午後3時55分に到着する。機材はボーイング787-8型機で、12日のソウル行き初便(787-8、登録記号JA822J)はJAL社内の荷物など約1トンを積むとともに、客室乗務員11人(専任客室乗務員1人、訓練生指導者5人、客室乗務員4人、教官1人)が慣熟訓練のため搭乗して成田を午前9時16分に出発し、29分にA滑走路(RWY34L)から離陸した。復路の成田行きには約9トンの貨物を積む。
今後は成田発には日本からの通販商品や電子部品などを4トンから5トン程度、ソウル発は電子部品や自動車部品、衣料品など約13トンを搭載。バンコク線は飛行距離が長いことから最大20トン程度の積載量だが、ソウル線は同25トン程度積めるという。アジアから成田経由で北米へ向かう貨物が多く、成田からはJAL便に積み替えて運ぶ。
西田真吾社長は、この時期にソウル線を貨物便からスタートした理由について、「燃料代をペイできるタイミングを見ていた」と話す。旅客便については「早ければ9月中にも始められるよう、準備を進めている」と述べ、韓国側の受け入れ態勢が整い次第、旅客便の運航を始めるという。
ZIPAIRは、最初の路線となるバンコク線の旅客便を5月14日に就航させる予定だったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で延期となり、旅客機を使った貨物専用便を6月3日から週4往復運航している。親会社のJALと貨物事業のコードシェア(共同運航)を実施しており、ソウル線も対象になる。ソウル線は7月1日に就航予定だったが、新型コロナの影響で延期となっていた。
787-8は2機受領済みで、いずれもJALが運航していた機体。座席数は2クラス290席で、フルフラットシートを採用したビジネスクラスにあたる「ZIP Full-Flat(ジップ・フルフラット)」が18席、エコノミークラス「Standard(スタンダード)」が272席となる。
成田-バンコク線、ソウル線開設後は、10月25日に始まる冬ダイヤ期間にハワイのホノルルへの就航を目指している。米国運輸省(DOT)は現地時間7月10日付で、成田-ホノルル線の営業を許可。西田社長によると、米国側との調整は順調に進んでおり、ハワイ州の受け入れ態勢が整えば就航できる状態を目指して準備を進めているという。
ホノルル就航後は米西海岸への乗り入れを目指す。
*写真は15枚(運航スケジュールは写真下に掲載)。
運航スケジュール
ZG41 成田(09:15)→ソウル(11:50)運航日:火水木土日
ZG42 ソウル(13:30)→成田(15:55)運航日:火水木土日
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ZIPAIR Tokyo
日本航空
貨物便としてバンコク就航
・ZIPAIR就航 JAL系LCC初便は貨物専用便、翼振り成田からバンコクへ(20年6月3日)
ZIPAIRの787
・ZIPAIRは787の座席数をどうやって増やしたか JAL機の1.5倍290席、ウォシュレットも(20年1月4日)
機内の動画(YouTube Aviation Wireチャンネル)
・ZIPAIR 787-8 JA822J機内公開 フルフラットシートも
写真特集・ZIPAIR 787-8の機内
(1)フルフラット上級席ZIP Full-Flatは長時間も快適
(2)個人用モニターなし、タブレット置きと電源完備のレカロ製普通席
(3)LCC初のウォシュレット付きトイレ
写真特集・ZIPAIR 787-8の外観
・白い機体に安全運航示すグリーンのチートライン
ハワイ就航目指す
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