ポーラとANA、宇宙でも使える化粧品開発　23年商品化目指す

　ポーラ・オルビスホールディングス（4927）と全日本空輸（ANA/NH）を傘下に持つANAホールディングス（ANAHD、9202）は9月11日、宇宙でも使える化粧品を共同開発するプロジェクト「CosmoSkin（コスモスキン）」を発足させたと発表した。2023年の商品化を目指す。

ポーラと宇宙でも使える化粧品を共同開発するANA＝PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　11日にオンライン会見を開いた両社によると、宇宙船の船内は極度に乾燥し水が貴重なため、化粧品にも地上とは違った機能性が求められるという。ポーラは水の使用量を最小限に抑えたり使わずに、従来品に近い使用感の化粧品開発を目指す。

　ポーラは、2019年に開かれた宇宙ビジネスアイデアコンテスト「S-Booster」で旅行者が肌や体調をケアしながら旅をする「美肌ウェルネスツーリズム」を提案し、ANAホールディングス賞を受賞。今回の共同開発は同賞をきっかけに始まったという。

　自然災害による避難所暮らしや、新型コロナウイルスの影響による在宅勤務の長期化で運動不足になるなど、新たな健康分野の課題がある中、3年後に宇宙と地球で使える化粧品の発売を目指すポーラの山口裕絵執行役員は「社会が抱える課題に対する答えも出せるのではないか」と述べ、極限環境となる宇宙でも使える商品開発が、使用感の向上やゴミの最小化など、通常の化粧品作りにも役立つとの考えを示した。

　ANAHDは、宇宙機を開発・製造するベンチャー企業、PDエアロスペース（PDAS、名古屋市）に出資。PDASは2023年の商用運航開始を目指す。宇宙ビジネスの事業化を進めるANAHDの津田佳明グループ経営戦略室事業推進部長は、「ANAは宇宙旅行を目指しており、実際に使われる化粧品を目指す。（2023年）はハードルが高いががんばる」と意気込みを語った。

　今後はポーラが化粧品開発を進め、ANAHDが地上よりも宇宙環境に近い航空機内を実証実験の場として提供する。

関連リンク
ポーラ・オルビス ホールディングス
全日本空輸

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