空港, 解説・コラム — 2020年9月6日 21:33 JST

運用室は四角形に 写真特集・成田空港新ランプタワー

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 成田空港のエプロン(駐機場)を走行する航空機などを管理する新しいランプタワー「ランプセントラルタワー」の運用が9月10日午前6時から始まる。空港を運営する成田国際空港会社(NAA)が建設し運用するもので、現在ランプコントロールに使用している旧管制塔は、老朽化により2021年に解体される。

成田空港に並ぶ(左から)管制塔、旧管制塔、ランプセントラルタワー=20年9月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 新タワーは5階建てで、高さ約60メートル。エプロンを走行する航空機の誘導や、駐機スポットの割り当て、飛行場面の管理などを担うコントロール室のほか、研修室やブリーフィングルームなどが入居する。ランプコントロールは5階の中央運用室で行い、仮眠室などがある低層階の1階と2階を耐震構造、高層階の3階以上を免震構造にした。

 成田空港では航空機の地上移動業務を、国土交通省航空局(JCAB)とNAAが役割を分担している。NAAが担うランプコントロールは国内で唯一、駐機施設にある航空機や車両の動きを専門に管理。出発する航空機のプッシュバックのほか、航空機や車両の走行許可や指示を出す。これにより、管制官は誘導路や滑走路の管制に集中できる。

 現在のランプコントロールは、1978年の開港時に使用していた旧管制塔にある「ランプ中央運用室」で進められている。旧管制塔の竣工は1971年10月31日で、高さは64メートル。JCABによる管制業務は、1993年に旧管制塔から現在の新管制塔(高さ87.3メートル)へ移転した。これに伴い、中央運用室は旧管制塔の13階から1995年3月に現在の16階に移転している。

 管制塔を流用した従来の中央運用室は五角形だったが、新タワーでは使い勝手が良い四角形に改めた。空調は水滴などが機器に落ちて業務に支障がないよう、床から吹き出す構造になっている。瞬間停電が起きないシステムや停電しても72時間稼働できる自家発電機を設けており、災害発生時にもランプコントロールを続けられるようになっている。

 旧管制塔の中央運用室から新タワーへの移転にあたり、NAAは既存のランプコントロールシステムを移設。スポットアサインなど一部のシステムは、移転に合わせて新システムに移行する。

*写真は12枚。

ランプセントラルタワーの中央運用室=20年9月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港のランプセントラルタワー3階=20年9月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港のランプセントラルタワー3階=20年9月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

多くの航空機が並ぶ成田空港のスポット=20年9月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港のランプセントラルタワーから見た第1ターミナル=20年9月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港のランプセントラルタワーから見た第2ターミナル=20年9月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ランプセントラルタワーから見た旧管制塔(右)と現在の管制塔=20年9月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

新タワーの中央運用室から見た成田空港を出発する中国南方航空のA380(上)=20年9月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ランプセントラルタワーの中央運用室=20年9月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ランプセントラルタワーの中央運用室=20年9月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ランプセントラルタワーの中央運用室=20年9月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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