「化粧室にはこだわりがあり、心を込めて清掃してきた土壌がある。清潔さは世界一を取っていきたい」。自らも客室乗務員として乗務していた日本航空(JAL/JL、9201)の執行役員、鳥取三津子客室本部長は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行前からきれいにしてきた機内の化粧室(ラバトリー)清掃について、こう話す。2019年1年間に渡航した18歳以上の男女を対象としたエイビーロードの「エアライン満足度調査2020」で総合満足度1位を全日本空輸(ANA/NH)とともに獲得したJALは、利用者のコメントを見ると清潔さを評価する声が多く見られた。
JALは総合満足度のほか、5部門ある部門別のうち「機内サービス部門」「空港接客サービス部門」「機材・設備部門」の3部門も1位を獲得。新型コロナウイルスが感染拡大する前の調査だが、以前からJALは化粧室の清潔さには定評があり、乗客から世界一トイレがきれいとの声が寄せられるほど。
9月4日に羽田空港に隣接するJALの訓練施設で開かれた受賞式の会場には、客室乗務員が着用する手袋やゴーグルに加えて、化粧室を清掃する際に使用するフェイスシールドやガウンも展示されていた。
客室乗務員の迫直美さんは、「機内で発生するゴミを複数回回収したり、ゴミ箱がいっぱいになる前に変えています。化粧室では、水しぶきや金具に付いた指紋を拭き取るようにしており、最近は粘着カーペットクリーナーも使用しています。マスクをしていても、表情が伝わるように意識をしています」と話す。化粧室をはじめ、客室の清潔性を意識しているという。
会場の展示では、JALの整備士が製作したパーティションや、消毒液の自動噴霧器も並べられていた。新型コロナの感染拡大に伴い、JALの整備士たちは端材などを活用してフェイスシールドを自作。JALグループ内で使うだけでなく、自治体にも寄贈している。
現在では空港のチェックインカウンターやラウンジの受付などに設置するパーティションも製作しており、空港や設置場所に応じて要望を聞き、形状をカスタマイズしているという。自動噴霧器は木製で、ぬくもりを感じられる外観に仕上げた。
受賞式に出席した地上係員の西野恵理さんは、羽田空港で国際線を担当。2019年11月に開かれた地上係員が接客スキルを競う「第7回空港サービスのプロフェッショナルコンテスト」の国内部門で、西野さんは優勝した経歴を持つ。空港での感染を防止するため、パーティション設置に加え、自動チェックイン機やベビーカー、車いすの消毒を行っているという。
客室清掃を担当する中野安里さんが会場内にあるビジネスクラスの客室モックアップで、清掃作業を実演。テーブルやコントローラーなどを消毒し、個人用モニターは消毒後に跡が残らないよう再度拭いていた。
JALをはじめ日本の航空会社は、これまでは自発的に機内を清潔に保ってきた。しかし新型コロナウイルスの感染拡大以降、機内や空港の清潔さは利用者が航空会社を選択する上で重要な意味を持つようになってきた。世界的に航空会社が危機的状況を迎える中、清潔さが差別化につながりそうだ。
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