全日本空輸(ANA/NH)と日本航空(JAL/JL、9201)は8月26日、成田空港で両社の出発便を合同で見送った。ANAとJALの国際線は現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により運休が大量に発生し、旅客数が激減している。両社による合同見送りは成田では初めての取り組みで、「日本の玄関口」を出発する旅客へ感謝を伝えた。
両社のグランドハンドリング(グラハン、地上支援)業務を担う社員が発案し、イベントを開催した。JALグループのJALグランドサービス(JGS)のとANAグループのANA成田エアポートサービス(NRTAS)の社員15人ずつ、計30人で両社の出発便を見送った。掲出した横断幕には「世界の空が早くつながりますように」とメッセージを添えた。
見送りの対象便となったのは、午後5時に出発するANAのロサンゼルス行きNH6便(ボーイング777-300ER型機、登録記号JA783A)と、午後6時に出発するJALのボストン行きJL8便(787-9、登録記号JA864J)の2便で、ロサンゼルス行きNH6便は47人(うち幼児1人)が搭乗し、57A駐機場を午後4時56分に出発。ボストン行きJL8便は128人(うち幼児2人)を乗せ、64番駐機場を午後6時10分に出発した。
今回の企画は、NRTASの黒岩宏明さんとJGSの高田歩さんが発案。新型コロナにより大量運休が発生し出した4月ごろに持ち上がり、6月からメールなどにより話し合いを進めた。黒岩さんは合同見送りについて、グラハンは旅客との接点がない職業だが、感謝を伝えたかったことから企画したとし、「このような(新型コロナ)状況下で乗ってくださるお客さまに感謝しかない」と話した。高田さんは、普段目にする機会の少ないANA機を見送り後、「近づけるようで近づけない機体。いい体験ができた」と振り返った。
両社のグラハンスタッフは、“ライバル”の機体をスマートフォンで撮影するなどしながら、米国へ向かう旅客を見送った。
両社は新型コロナで国内線の減便が相次いだ4月下旬から、一部空港での合同見送りを開始。4月27日からは新千歳空港で、翌28日からは福岡空港で、両社のほかスカイマーク(SKY/BC)とスターフライヤー(SFJ/7G、9206)、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)、ジェットスター・ジャパン(JJP/GK)、フジドリームエアラインズ(FDA/JH)の社員が参加し、共同で見送りを実施した。海外では、英国のヒースロー国際空港で見送った。
成田ではJGSとNRTASが2017年から2年連続で、出発時に機体を押し出すトーイングカーの運転技術を競う「プッシュバック競技会」を共催。両社の予選を勝ち抜いたスタッフが参加し、トーイングカーの運転技術を競うなど交流を深めている。
関連リンク
日本航空
全日本空輸
JALグランドサービス
ANA成田エアポートサービス
成田空港
各空港での合同見送り
・JALとANA、ロンドンで合同見送り(20年5月27日)
・福岡空港、航空7社が一緒に見送り 5月末まで(20年4月28日)
・JALとANA、新千歳で一緒に見送り(20年4月28日)
LCC各社も合同見送り
・成田空港、LCC合同で見送り ピーチとジェットスター、春秋ら「がんばろうT3プロジェクト」(20年5月31日)
プッシュバック競技会
・JALとANA、グラハンで交流 成田でプッシュバック競技共催(17年3月10日)