米国防総省は現地時間8月14日、ロッキード・マーチンがF-16戦闘機の製造を受注したことを公表した。同盟国に向けた有償軍事援助(FMS)の新造機で、契約期間は10年間、総額620億ドル(約6兆2000億円)、機数は90機。相手先は明らかにしていないが、AFP通信やブルームバーグなどによると、このうち66機を台湾へ売却するとみられ、発表では2026年末までに終える予定だとしている。
米国は2019年8月に、台湾へF-16の最新型F-16V(F-16 Block 70/72)を66機売却することを決め、今回契約締結に至った。米国が台湾に戦闘機を売却するのは、1992年にF-16A/Bを計150機売却することを承認して以来となる。
F-16Vは、最新のレーダーやコックピットなどを採用し、機体を長寿命化した発展型で、2015年10月16日に初飛行。第5世代戦闘機のF-22やF-35に搭載されているAESA(アクティブ電子走査アレイ)レーダーをベースに、ハードウェアとソフトウェアの共通性を持たせたAPG-83レーダーを搭載する。グラスコックピットの改良や、最新のモジュラーミッションコンピューターやアビオニクスを採用し、オートパイロットやオートスロットルを強化したデジタルフライトコントロールコンピューターを搭載し、自動地上衝突回避システムなどで安全性も高めている。
コックピットは高解像度ディスプレーを採用し、カラー地図や管理しやすくなった空対空兵器の状況表示、ディスプレー間で情報を切り替えて拡大表示する機能などを備えている。
第5世代並みの能力を備えることで、ロッキード・マーチンは2060年以降の運用が可能だと説明している。
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U.S. Department of Defense
Lockheed Martin
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