エアバスは現地時間7月24日、A350型機の開発に対してフランスとスペイン両政府から受けてきた融資の金利とリスク評価を見直すと発表した。欧州と米国がWTO(世界貿易機関)を舞台に2004年から16年にわたり繰り広げてきた貿易紛争だが、米国の欧州に対する報復関税が農産物など航空産業以外の輸出品も対象にしており、新型コロナウイルスの影響で苦しむ欧州への打撃を抑える狙いもある。
エアバスのギヨム・フォーリCEO(最高経営責任者)は、「我々はWTOのすべての要件を完全に遵守している」との声明を発表。同社へのフランスとスペインによる政府補助金を見直すことで、USTR(米国通商代表部)が課した欧州製品への関税の正当性はなくなるとしている。
米国とEU(欧州連合)は2004年以来、ボーイングとエアバスへの補助金について違法性を双方が提訴してきた。2021年に生産を終える総2階建ての超大型機A380の開発に対する補助金も、やり玉に挙がってきた。2019年10月に、WTOは米国がEU製品に対して75億ドル(約8100億円)の報復関税を課すことを認めた。
一方、WTOは2019年3月に米国によるボーイングに対する補助金を不当と判断している。今年5月には、米国がボーイングに対する税制優遇を打ち切っている。
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