デルタ航空(DAL/DL)は7月21日、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)拡大防止に向けた取り組みを報道関係者に紹介した。自動チェックイン機の導入などにより地上係員が荷物に触れるのを抑え、機内では一部の座席を制限するなど、ウイルス拡散を防ぐ。また、羽田に新設予定のラウンジは、2021年夏ごろの開業を目指す。
—記事の概要—
・五輪までに羽田ラウンジ
・HEPAフィルター早めに交換
・中央席ブロック継続も
・8月は羽田4路線
五輪までに羽田ラウンジ
デルタでは感染拡大防止に向けた取り組みを「デルタ・ケア・スタンダード」と命名。チェックイン以降のすべての行程で安全対策を講じている。
羽田空港では、ターミナルを運営する東京国際空港ターミナル(TIAT)と共同で4月から自動チェックイン機を導入。利用客が自身でバゲージタグを出力することで、地上係員が触れることなく「タッチレス化」を実現する。また、自動手荷物預け機も導入し、8月をめどに使用を開始する。
カウンターなどにはアクリル板を設置し、飛沫感染を防止。羽田のほか、就航する全空港で導入する。
各空港のラウンジは、複数ある場合は1カ所に集約。ラウンジ内の食事はビュッフェから個包装に切り替え、感染拡大を防ぐ。
デルタ航空は羽田空港第3ターミナル(旧国際線ターミナル)北側5階に、マイレージ会員向けラウンジ「デルタ スカイクラブ」を7月に新設する予定だった。TIATが運営していたラウンジ「TIATラウンジ・アネックス」の跡地に計画していたが、新型コロナウイルスの影響により、現在は工事が中断している。
同社の日本地区空港本部の田中勇三本部長は、ラウンジの新設時期について、ビジネスクラスの利用が落ち込んだ現状を踏まえ「現実的にオープンしても(利用客が)いない」とし、2021年7月23日に開会を予定する東京五輪までに開設したいとした。
HEPAフィルター早めに交換
機内では、2時間など短時間で折り返す場合でも、消毒剤を使用して清掃する。デルタは日本発便で、消毒液が入った静電スプレー噴霧器を導入。ノズルに高電圧をかけて液剤を霧状にし、ラバトリー(化粧室)やオーバーヘッドビン(手荷物収納棚)のほか、手が届かない隙間などに使用する。
機内の空気はエンジンを通じ、新鮮な外気を取り込んでいる。高性能フィルター「HEPA(高効率粒子状空気)フィルター」でろ過した空気は機内を循環し、約3分で機内のすべての空気が入れ替わる。空気は天井から座席下への一方向に流れるため、客室内の前後左右に空気が拡散しない。ウイルスの捕集能力は99.99%。デルタではHEPAフィルターの交換頻度を、メーカー標準よりも2倍早めている。エアバスA350 XWBの場合2400飛行時間、A330-900(A330neo)は2500飛行時間で交換する。
中央席ブロック継続も
中央席をブロックするなど、座席使用を制限している。米国内線のファーストクラスでは50%、国際線のビジネスクラス「デルタ・ワン」は75%、プレミアムエコノミー「デルタ・プレミアムセレクト」と足もとが広いエコノミークラス「デルタ・コンフォートプラス」、エコノミークラス「メインキャビン」はいずれも60%のみ使用している。
座席制限は当初、6月30日までを予定していたが、9月30日まで延長する。デルタ航空日本支社の大隅ヴィクター支社長は座席制限について、「利用客から高く評価されている」と述べ、10月以降も検討する意向を示した。
8月は羽田4路線
デルタ航空は冬ダイヤ最終日の3月28日に、成田空港から撤退。運航していた米国からの5路線は、いずれも夏ダイヤが始まった翌29日から羽田へ移管した。新型コロナの影響により、夏ダイヤ期初から開設したのはシアトル線のみで、現在はデトロイト線を含めた移管2路線のみ運航している。
8月からは移管路線のアトランタ-羽田線を開設。既存のロサンゼルス-羽田線も再開し、羽田路線は計画の7路線のうち4路線を運航する。一方で移管路線のポートランドとホノルル、既存路線のミネアポリスの計3路線は、現地10月23日発まで運休が決まり、中部(セントレア)へのデトロイト線とホノルル線、ホノルル-関西線の3路線も、現地10月23日発まで運休となる。シアトル-関西線は夏季の季節運航便で、年内は運休する。
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