中国から拡散した新型コロナウイルスの影響で、国内線も多くの運休・減便が発生した。7月に入ると、羽田空港では日本航空(JAL/JL、9201)や全日本空輸(ANA/NH)がこれまで閉鎖していたターミナルの施設を再開。JALが乗り入れる第1ターミナル北ウイング、ANAが使用する第2ターミナル南側エリアが1日から運用再開となり、羽田は今後の国内線復活に対応できるようになった。
空港内の各所には消毒液が設置され、イスは間隔をあけて座るよう案内がなされている。チェックインカウンターや保安検査場、搭乗口前などの床には、足跡のステッカーや停止線が貼られ、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離)の確保につながる取り組みが目に付く。また、チェックインカウンターや案内所には飛沫感染防止のビニールカーテンやアクリル板が設置され、保安検査場の入口には検温用のサーモグラフィーが設けられている。空港や航空会社の係員による清掃や消毒も頻度を高めて清潔さを保っている。
こうした取り組みは羽田だけではなく、成田や伊丹、関西、神戸、中部、福岡、仙台といった各地の空港でおおむね同じような新型コロナ対策がなされている。成田国際空港会社(NAA)や関西エアポートによると、ソーシャル・ディスタンシング確保のため、人と人の間隔を1メートル以上離すようにしているという。
利用者だけでなく、空港で働く人の飛沫感染を防ぐ上で効果的なビニールカーテンは、チェックインカウンターだけではなく、保安検査場の出口などにも設置されている。中部国際航空会社によると、中部空港(セントレア)の共用チェックインカウンターは、開港以来使用している第1ターミナルが120カ所、LCC専用の第2ターミナルは33カ所にビニールカーテンを設置したという。福岡空港でJALの地上係員らが所属する子会社のJALスカイ九州によると、ビニールカーテンはホームセンターで調達したそうだ。
感染防止の観点で利用者に協力を呼びかけるため、周知ポスターなどに地元のキャラクターを起用する空港もある。仙台空港では、地元・宮城県の「むすび丸」や「仙台弁こけし」とコラボ。仙台国際空港会社によると、SNSにポスターなどの写真が投稿されており、新型コロナ対策を知ってもらうきっかけになっているようだ。
国内線が復便傾向にある中、空港や機内ではマスクの着用や、こまめな手洗いと消毒が基本的な対策になる。新型コロナ対策は航空会社だけではなく、空港運営会社も地道な努力を続けている。
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