新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で3月から運航を停止してきたエアバスA380型機を、7月15日から再開するエミレーツ航空(UAE/EK)。2021年で生産完了となるA380は現在、エミレーツ向けの機体製造や納入と、全日本空輸(ANA/NH)の3号機(登録記号JA383A)の引き渡しなどが残るのみとなっており、仏トゥールーズでの最終組立も大詰めを迎えつつある。
A380の最終号機もエミレーツ向けで、MSN(製造番号)は272。機首がある前部胴体が現地時間6月18日に、仏南西部のランゴンから最終組立工場があるトゥールーズへトレーラーで運ばれた。今後は中央胴体との結合作業や胴体と主翼の結合、エンジンの取り付け、塗装、内装作業などが進められていく。
エアバスによると、トゥールーズで作業中のA380は、引き渡しを4月から半年程度延期されたANAの3号機を含めて6機、塗装工場があるハンブルクが3機。ANAの3号機を除くと、8機すべてがエミレーツ向けの機体だ。
エミレーツは総2階建ての超大型機であるA380を世界最多保有する航空会社で115機保有し、123機を発注済み。全世界で運航中のA380は5月末時点で240機あり、このうち47.9%がエミレーツの機体となる。座席数は3クラス489席、3クラス517席、2クラス615席の3仕様がある。
一方、3機を親会社のANAホールディングス(ANAHD、9202)が発注したANAは、全機を成田-ホノルル線に投入。2019年5月24日に初号機(JA381A)、翌月の6月19日に2号機(JA382A)が就航し、7月1日からは週10往復体制で運航していたが、新型コロナの影響で今年3月25日にホノルルから成田へ到着した便を最後にA380の運航を一時停止。6月22日に2号機、翌23日に初号機が成田空港を乗客を乗せずに1周して機体の安全性を維持している。
ANAのA380は座席数はいずれも4クラス520席で、ファーストクラスが8席、ビジネスクラスが56席、プレミアムエコノミーが73席、エコノミーが383席。ファーストは日本初のドアを備えた個室型シートを採用し、ビジネスは家族やカップルが隣同士で座れるペアシートを設けるほか、エコノミー後方には日本の航空会社初となるカウチシート「ANA COUCHii」を導入している。
A380の世界最大のオペレーターであるエミレーツは、今後の主力機材をA350-900やボーイング787-9型機に軸足を移しており、A380や777Xといった400席超クラスの大型機の発注を減らしている。新型コロナの影響で航空業界を取り巻く状況が変わる中、A380はあとどのくらい飛び続けるのだろうか。
エミレーツのA380
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ANAのA380
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