ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下の貨物事業会社ANAカーゴ(ANA Cargo)は6月10日、成田-フランクフルト間の貨物臨時便の運航を始めた。貨物専用の大型機ボーイング777F型機を使用する。週1往復水曜日の設定で今月は17日と24日にも運航し、7月も同規模の貨物臨時便を検討する。ANAが貨物専用機を欧州に投入するのは初めて。
中国から拡散した新型コロナウイルスの影響により、日欧間の旅客便の運休や減便が続く中、日本と欧州双方の貨物需要に対応する。ANAグループでは、5月に羽田-フランクフルト間の貨物臨時便を週1往復金曜日に運航しており、この時の機材は長距離国際線に投入している大型旅客機の777-300ERだった。また、成田-武漢間の貨物臨時便の運航を5月19日から週3往復で中型貨物機の767-300Fを使用して運航している。
ANAによる今月の日本とフランクフルト間の貨物輸送は、貨物機による成田-フランクフルト間の貨物臨時便と、旅客便の床下貨物室を使う羽田-フランクフルト線の2経路となる。777Fは欧州の貨物玄関口となるフランクフルトのほか、上海とシカゴへも運航しており、旅客機には積めない大型貨物にも対応している。
今回の貨物臨時便の運航スケジュールは、フランクフルト行きNH8597便が成田を午前8時30分に出発し、午後1時30分着。成田行きNH8598便は午後3時40分にフランクフルトを出発し、翌日午前10時5分に到着する。
旅客機の777-300ERの貨物室は搭載量29トンだが、貨物機の777Fは最大100トンまで積める。10日のフランクフルト行き初便のNH8597便は、半導体製造装置や電子機器・部品、衣料品、医療用品など65トンを積み、成田を午前8時37分に出発した。復路は満載となる100トンを予定しており、ワインや機械部品などを日本へ運ぶ。
ANAカーゴは2014年からルフトハンザ・カーゴ(GEC/LH)と航空貨物の共同事業(JV)を実施。10日の往路はANAカーゴの販売で、復路はルフトハンザ扱いの貨物も搭載する。ANAカーゴの浦野敏央・成田ウェアハウスオペレーションセンター副センター長によると、医療品の輸送は5月で落ち着いたものの、日欧間の貨物スペースは不足しているという。
ANAによると、今後は成田-フランクフルト間の貨物便を不定期に運航することも検討していくという。
*写真は18枚(運航スケジュールは写真下に掲載)。
運航スケジュール(6月10日、17日、24日)
NH8597 成田(08:30)→フランクフルト(13:40)
NH8598 フランクフルト(15:40)→成田(翌日10:05)
ANAカーゴ
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777F
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