中国から拡散した新型コロナウイルスの影響で、旅客便の大量運休が全世界的に発生している。各国で外出禁止や自粛、入国禁止措置などが取られ、旅客需要が急激に落ち込んだ影響だが、一方でマスクや防護服をはじめとする医療品やネット通販の商品など、貨物需要は落ち込んでおらず、増加傾向もみられるほどだ。
しかし、国際線の大半が運休しており、航空貨物の搭載スペースがひっ迫している。航空各社では、旅客機に貨物のみ搭載する貨物専用便を運航し、需要増に対応している。
—記事の概要—
・旅客なし定期便で貨物輸送
・座席取り外しは制約も
旅客なし定期便で貨物輸送
日本航空(JAL/JL、9201)は、4月30日までの国際線旅客定期便の88%を運休。60路線すべてが運休対象に入っており、5月は1カ月間で94%にあたる60路線4568便の国際線を運休・減便する。マスクなどの医療品は緊急性が高く、航空貨物の需要が急増している一方で、旅客便の貨物室を使う「ベリー」の搭載スペースが運休により減少したことから、JALでは3月9日から旅客機に乗客を乗せず、床下の貨物室に貨物のみ搭載する貨物専用便の運航を始めた。
JAL貨物路線部国際路線室の大岩慎太郎氏によると、旅客便の貨物室は満席でも7割くらいは航空貨物を搭載するスペースがあるという。3月9日から4月16日までの期間で、貨物のみ搭載する定期便288便と搭載スペースを運送業者などが買い取る臨時便41便の計329便を運航。3月は前年同月比7%減の約3.3万トンの貨物を運び、搭載率は19ポイント上昇し約96%になり、3.3万トンのうち6000トンが貨物専用便によるものだった。
方面別では中国など東アジアが177便でもっとも多く、ベトナムなど東南アジアが83便、欧州が55便、北米が12便、オセアニアが2便と続いた。積荷は全路線共通するのが郵便やエクスプレス(速達)貨物、生鮮食料品で、中国からはマスクや防護服、北米からは医療品、欧州発はサーモンといった特徴がみられたという。
機材は北米や欧州、遠方の東南アジアといった長距離路線には、ボーイング777-300ER型機や787-9、東アジアや近距離東南アジアには777-200ERや787-8を投入。貨物室の搭載量は、777-300ERと787-9が20-40トン、777-200ERと787-8が15-25トンとなっている。
4月17日夕方、成田空港にマスクが
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