エアライン — 2020年4月1日 09:35 JST

ANA、客室乗務員8割が一時帰休 6400人、最長1年間

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 ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下の全日本空輸(ANA/NH)は3月31日、客室乗務員の8割に当たる約6400人を対象に、一時帰休させることで労働組合側と合意した。中国から拡散した新型コロナウイルスの影響によるもの。ANAによると、パイロットや整備士、地上係員(グランドスタッフ)など他の職種については、現時点で一時帰休の予定はないものの、運休状況などをみて検討は続けているという。

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8割の客室乗務員が一時帰休するANA=20年3月29日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 休業は会社が指定した日に、1人当たり毎月3-5日程度になる見込みで、期間は4月から最長1年間。ANAには約8000人の客室乗務員がおり、当初はフルタイムで働いている約5000人を対象に検討していたが、運休便数が拡大したことから人数を増やした。

 客室乗務員の給与の中には、乗務時に支払われる「乗務手当」があるが、一時帰休では支給されない。会社側は国の雇用調整助成金を申請済みで、乗務手当は補償されないが、その他の賃金減額分はこれらの制度を活用し、休業手当として補填する。

 新年度が始まる4月1日は、羽田空港の格納庫でグループ合同で毎年開いている入社式を中止。ANAHDの片野坂真哉社長が安全の大切さを訴えかけるビデオメッセージを用意し、新入社員はオフィスや自宅で視聴した。客室乗務員の新入社員は650人で、訓練を一度に実施できないことから、例年4月から10月に14回に入社時期を分けている。ANAによると、今年度も同様で、一時休業の影響はないという。

 ANAの国際線は、夏ダイヤ初日の3月29日から4月24日までの27日間で、計画している72路線のうち、85%に当たる71路線3943便の運休や減便を決定。羽田-ミラノ線など新路線開設も延期が決まった。国内線も計画の約2割を減便している。

 運休対象の中には、総2階建ての超大型機エアバスA380型機による成田-ホノルル線も含まれる。ANAはA380の3号機(登録記号JA383A)を4月に受領する予定で、「現時点で延期など決定したものはない」(ANA)と説明するが、運休がさらに長期化した場合は、日本側での着陸料の支払いが発生するため、受領時期の調整などが生じる可能性がある。

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