全日本空輸(ANA/NH)は夏ダイヤ初日の3月29日、羽田空港第2ターミナルの国際線施設の開業に合わせ、一部路線の出発ターミナルを変更した。これまでは国内線が第2、国際線が第3(旧称国際線)ターミナルに乗り入れていたが、一部の国際線が第2から発着。第2ターミナル内で国内線から国際線へ乗り継ぐ際の最小接続時間(MCT)は55分で、現在の70分から15分短くなる。また、第2の国際線施設内にラウンジを新設した。
—記事の概要—
・初日は8路線使用
・国内最大級ラウンジ
・自動手荷物預け機
初日は8路線使用
ANAの国際線35路線のうち、夏ダイヤでは6割にあたる21路線が第2ターミナル出発、残り14路線が第3から出発する計画(関連記事)だったが、中国から拡散した新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で大幅に運休が発生。初日の29日に第2から出発する国際線は8路線にとどまり、昼までに出発した便の中には、3クラス246席仕様のボーイング787-9型機に乗客4人の便もみられた。
国際線施設の初便は、定刻では午前10時15分発のジャカルタ行きNH855便(787-9、3クラス246席、登録記号JA896A)の予定だったが、同20分発のヒューストン行きNH114便(777-300ER、4クラス212席、JA786A)が3分早発の同17分に出発。NH855便の出発が同25分に遅れたため、NH114便が第2ターミナルから出発した最初の国際線になった。NH855便は従来から羽田発着の路線で、NH114便は成田から移管した新路線となる。
第2から出発する国際線8路線のうち、5路線が午後0時すぎまでに出発した。残る3路線は午後9時以降の出発となる。また、新型コロナウイルスの影響で乗客数は激減し、ジャカルタ行きNH855便は36人(幼児なし)、ヒューストン行きNH114便は32人(幼児なし)、ワシントンD.C.行きNH102便(777-300ER、4クラス250席、JA733A) は45人(幼児なし)、シンガポール行きNH841便(787-9、3クラス246席、JA887A)は4人(幼児なし)、ロンドン行きNH211便(777-300ER、4クラス212席、JA796A)は29人(幼児なし)だった。また、ロンドンなどファーストクラスの設定がある路線では、ファーストクラス客はゼロだった。
国際線施設は3階を出発ロビー、2階を到着ロビーにすることで、同じく2階にある国内線の出発ロビーへ移動しやすくし、国際線から国内線への乗り継ぎ利便性を向上させた。スポット(駐機場)は71-73番の3つが国際線専用、66-69番の4つは内際共用で時間帯により国際線と国内線を使い分ける「スイング運用」を実施するが、新型コロナウイルスの影響で便数が減少していることから、当面はスイングを行わずに使用する。
ANAの南日隆男・東京空港支店長は、「同一ターミナルで国際線と国内線を乗り継げ、窓からの眺めのいい施設になった。寂しいスタートだが、新型コロナウイルス収束後に向け、万全の態勢で臨みたい」と抱負を語った。南日支店長によると、路線によりターミナルが分かれることから、駅など各所に当面は係員を配置して案内するという。
国内最大級ラウンジ
ANAは、国際線施設に出発と到着ラウンジを新設。出発ラウンジは国内最大級で、建築家の隈研吾氏が監修。「一期、一会」をコンセプトに、、「積み重ねた時間」と「きらめきの瞬間」が融合する空間を目指したという。ラウンジ内には、空や水といった自然の中にある青を照明やアートなどの光で表現し、日本庭園のようにした。
ラウンジの席数は約1300席で、マイレージサービスの最上級会員向け「ANAスイートラウンジ(ANA SUITE LOUNGE)」が約360席、一般会員向け「ANAラウンジ(ANA LOUNGE)」が約900席となる。営業時間は午前5時から最終便出発まで。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、当面は食事の提供方法を変更し、一部の席を閉鎖して運用している。
自動手荷物預け機
今回開業した国際線施設は、羽田で国内線のターミナルを運営する日本空港ビルデング(9706)が保有。運営は第3と同じく東京国際空港ターミナル(TIAT)が担う。3階出発ロビーに設置された自動手荷物預け機13台(26レーン)などのサービスは、ANAに対してTIATが提供する。また、ファーストクラスやマイレージサービス最上位「ダイヤモンド」会員向けの居室型カウンターや、手伝いが必要な利用者向けのユニバーサルデザインのローカウンターを設けた。
保安検査場には、スマートレーン10台を設置。4人の利用者が1レーンを同時利用できるため、検査までの待ち時間を短縮できる。
ラウンジはANAのラウンジに加え、TIATが運営する「POWER LOUNGE PREMIUM(パワーラウンジ・プレミアム)」が入る。
*写真は28枚。写真下に初日午前5便の出発実績掲載。
羽田2タミ国際線施設午前便の実績(羽田は定刻/実績/搭乗口のの順。目的地は定刻/予定時刻)
NH855 羽田(10:15/10:25/72番)→ジャカルタ(15:55/15:57)
NH114 羽田(10:20/10:17/73番)→ヒューストン(08:40/07:43)
NH102 羽田(10:55/11:20/71番)→ワシントンD.C.(10:35/10:41)
NH841 羽田(11:05/11:44/702番)→シンガポール(17:15/17:40)
NH211 羽田(11:35/12:08/72番)→ロンドン(16:10/16:00)
*NH802の702番はバスゲート。
3月29日開業
・羽田空港、2タミ国際線施設オープン 滑走路一望、ANAが乗り入れ(20年3月29日)
羽田2タミ国際線施設
・ANA、羽田2タミ国際線施設に国内最大級ラウンジ 滑走路望む足湯も(20年3月20日)
・羽田2タミ国際線施設、滑走路見える出発ロビー 国内線乗継は同一階で利便性向上(20年3月10日)
ANAのターミナル配分
・ANA、羽田国際線の出発ターミナル決定 第2が6割、第3も継続(20年1月24日)
2タミ国際線施設着工
・羽田空港、第2ターミナル国際線施設10月着工 20年開業(17年9月26日)
・羽田第2ターミナルの国際線転用、20年3月までに実施 TIATが運用(16年11月24日)
・ANA篠辺社長、羽田2タミへの国際線就航「有力な選択肢」(16年10月30日)
第3ターミナルに改称
・【動画】深夜の駅名変更 京急羽田空港第3ターミナル駅(20年3月21日)
・羽田国際線ターミナル、夏ダイヤから「第3ターミナル」 駅名は3月14日変更(19年12月16日)
・羽田国際線ターミナル、「3タミ」20年3月改称 国交省が再度周知、「ビル」消える(19年2月27日)
・羽田国際線ターミナル、「3タミ」に 20年3月変更(17年8月29日)
・羽田国際線ターミナル、名称変更へ ”3タミ”有力(17年8月14日)