世界の航空会社などが加盟するIATA(国際航空運送協会)は現地時間3月13日、EU(欧州連合)が打ち出した航空会社の発着枠使用義務の一時停止措置を歓迎する声明を発表した。航空会社は現在、中国から拡散し欧州で猛威を振るう新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で大幅な減便を迫られており、IATAは同措置の延長など航空業界へのさらなる配慮を要請する方針だ。
EUの行政執行機関であるEC(欧州委員会)は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う航空需要減少への対応策として、航空会社に課している発着枠の使用基準を緩和する方針を10日に打ち出した。従来、発着枠の80%を使用しなかった航空会社は次回の割り当てを受ける権利を失うが、この基準を6月まで停止する。
発着枠維持のため、航空会社が乗客を乗せずに運航する「ゴーストフライト」を減らし、需要減による収益悪化に苦しむ航空会社に配慮する。
一方、IATAはECによる運航基準停止期間が6月までに留まる点は「最低限の業界ニーズだ」として、航空業界の夏ダイヤが終了する10月まで期間を延長するよう求めた。IATAのラファエル・シュヴァルツマン欧州担当バイス・プレジデントは、「航空会社は危機に瀕している。ECの決定は大歓迎だが、すべての不確実性を考慮すると(10月までの)フルシーズンをカバーしなかったことは残念だ」と述べた。
IATAの予測によると、新型コロナウイルス感染拡大による航空会社の売上高減少は全体の19%に当たる1130億ドル(約12兆円)に上る。これは米国による欧州からの移動制限措置が発表される前の予測で、影響はさらに拡大する見通しだ。IATAは発着基準に加え、他の基準についても緊急緩和を求めていく。
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