エアライン, 空港 — 2020年3月10日 19:58 JST

羽田2タミ国際線施設、滑走路見える出発ロビー 国内線乗継は同一階で利便性向上

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 羽田空港の国内線ターミナルを運営する日本空港ビルデング(9706)と、傘下で国際線ターミナル運営を手掛ける東京国際空港ターミナル(TIAT)は3月10日、全日本空輸(ANA/NH)などが乗り入れる第2ターミナル国際線施設や、14日から第3ターミナルに改称する国際線ターミナル再増築部の詳細を発表した。夏ダイヤが始まる3月29日に全面供用開始する。

羽田空港第2ターミナル国際線施設の3階出発ロビー(日本空港ビル提供)

 国内線48路線と発着枠増枠後の国際線61路線の乗り継ぎ機能を強化し、自動手荷物預け機の導入や、鉄道との接続階に設置するチェックインカウンターで手続きする「レールサイド チェックインサービス」を開始。保安検査場には複数の乗客が検査レーンを同時に利用できる「スマートレーン」を導入し、今年上期内には顔認証技術を活用した“顔パス”で搭乗できる「OneID」の実証実験を始めるなど、IATA(国際航空運送協会)が推進する旅客搭乗手続きの自動化プロジェクト「ファストトラベル」を推進することで、待ち時間の短縮や検査の高度化、効率化を図る。

 多機能トイレに火災報知器や非常放送と連動するフラッシュライト設置や、段差のない搭乗橋(PBB)を増やすなど、ユニバーサルデザインに基づいた館内施設の更新を進める。また、現在は国内線と国際線ターミナルで異なるコンシェルジュなどの制服も、29日に刷新。羽田空港内で統一する。

新制服を着用した羽田空港のコンシェルジュ=20年1月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
空がコンセプトの2タミ国際線施設
南側ラウンジ新設の3タミ

空がコンセプトの2タミ国際線施設

 羽田空港の国際線発着枠は、3月29日から拡充。これに伴い、従来は国内線のみが使用していた第2ターミナルにも同日から国際線が乗り入れるようになる。このため、2タミ館内でも国際線エリアは3タミと同じ24時間運用、国内線エリアは従来通り深夜早朝時間帯は閉館する。

羽田空港第2ターミナル国際線施設の3階出発ロビー(日本空港ビル提供)

 2タミの国際線施設は南側に増築。地上5階地下1階建て、増築面積は6万6000平方メートルで、総事業費は約620億円となった。3タミと同じく「空」をコンセプトに、日本の伝統文様で成長を意味する「麻の葉」をモチーフに取り入れた。設計監理者は梓・安井・PCPJ・東京国際空港第2ターミナル 国際線施設建設工事 設計監理共同企業体、技術アドバイザーは三菱地所設計、施工は大成建設(1801)で、2017年10月に着工した。

 スポット(駐機場)は71-73番の3つが国際線専用、66-69番の4つは内際共用で時間帯により国際線と国内線を使い分ける「スイング運用」を実施する。国際線施設は3階を出発ロビー、2階を到着ロビーにすることで、同じく2階にある国内線の出発ロビーへ移動しやすくし、国際線から国内線への乗り継ぎ利便性を向上させた。

 3階の出発ロビーは、滑走路を離着陸する航空機を一望できる最大で高さ約18メートルの開放感ある空間とした。屋根には自然光が入る膜を採用し、屋根材を軽量化することで既存建物の柱や杭といった構造体を再利用し、ロビー天井面への機器の取り付けを最小限に抑えて減災対策を講じている。空港ビルによると、出発ロビーから滑走路が見えるターミナルは珍しいという。また、航空会社のマイレージサービスの上級会員用カウンターも設ける。

羽田空港第2ターミナル国際線施設の3階出発ロビー(日本空港ビル提供)

羽田空港第2ターミナル国際線施設の3階出発ロビーに設置された自動手荷物預け機(日本空港ビル提供)

羽田空港第2ターミナル国際線施設の3階出発ロビーの多頻度旅客専用手続き施設(日本空港ビル提供)

 商業施設は、一般エリアに飲食店と物販店が2店舗ずつと、外貨両替などサービス店が10店舗、出国審査後の保安エリアは飲食店11店舗、物販店6店舗、ラウンジや市中免税店引き渡しカウンターなどサービス店3店舗の合わせて34店舗が入る。ラウンジはANAのラウンジに加え、TIATが運営する「POWER LOUNGE PREMIUM(パワーラウンジ・プレミアム)」が入る。

 2階の到着ロビーには、各地の情報などをワンストップで提供できる「ウェルカムセンター」を設け、訪日外国人への案内を充実させる。空港ビルによると、羽田を含む首都圏空港を利用する訪日客の割合は、日本全体の4割を占めているという。

 国内線到着ロビーがある1階には、シャワー室を新設する。

 京浜急行電鉄(9006)や東京モノレールと接続する地下1階には、チェックインカウンターと自動手荷物預け機を設置し、国際線に搭乗する乗客が、ターミナル到着後すぐに重い手荷物から解放されるようにした。

 ANAの羽田発着国際線は、夏ダイヤでは35路線のうち、6割にあたる21路線が2タミ出発、残り14路線が3タミ出発になる(関連記事)。

羽田空港第2ターミナル国際線施設の外観=20年3月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

南側ラウンジ新設の3タミ

 14日に第3ターミナルへ名称変更する現在の国際線ターミナルは、北側を増築して3階の出発ロビーにチェックインカウンターMとNを増設し、2階の到着入国検査場内には手荷物引き取り用ターンテーブルなどを拡充。従来オープンスポットだった115番と116番の2カ所に、PBBを新設した。

羽田空港第3ターミナル増築部外観(日本空港ビル提供)

 新設の搭乗口は140番と141番で、これに伴いサテライト内の搭乗口番号を従来の141-148番から142-149番に変更。これらは2019年12月から順次供用を開始している。

 これまでラウンジがなかった出国エリア南側には、「SKYLOUNGE SOUTH(スカイラウンジ・サウス)」を新設。館内はゆるやかなうねりで空を表現したという。北側ラウンジは現在改修中で、秋ごろにはターミナル北側、中央、南側にすべてラウンジがそろう。

羽田空港第3ターミナル増築部SKYLOUNGE SOUTH(日本空港ビル提供)

羽田空港第3ターミナル増築部140番搭乗口(日本空港ビル提供)

 増築部は地上6階建てで、面積は増築部分が約1万4000平方メートル、既存改修部分が約1万5000平方メートルで、総事業費は220億円。設計監理者は梓・安井・PCPJ東京国際空港国際線旅客ターミナル 設計監理共同企業体、技術アドバイザーは三菱地所設計、施工は鹿島建設(1812)と清水建設(1803)が担った。

 また、ホテルや中長距離バスターミナルなどを備える複合施設「羽田エアポートガーデン」への連絡通路を設ける。エアポートガーデンは4月21日に開業を予定している。

羽田空港第3ターミナル増築部(日本空港ビル提供)

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