伊丹空港を運営する関西エアポート(KAP)は1月24日、進めている同空港の全面リニューアルについて、7月にグランドオープンすると発表した。スマートレーンを本格導入するほか、回遊性を重視した「ウォークスルー型」の商業エリアを搭乗口前に設ける。オープン日は5月をめどに発表するが、7月24日に始まる東京五輪前には開始する見込み。
—記事の概要—
・すべてスマートレーンに
・非航空利用者向けの店舗も
・常務「伊丹は相当変わる」
・ターミナル69年開業
すべてスマートレーンに
伊丹空港の保安検査場は、全日本空輸(ANA/NH)が使用する南側と、日本航空(JAL/JL、9201)が使用する北側の2カ所に分かれている。現在の保安検査場は、従来型のレーンと試験導入しているスマートレーンが混在しており、南側には従来型8台、スマートレーン2台の計10台、北側は従来型7台、スマートレーン2台の計9台を設置している。
改修後は従来型のレーンを廃止。南側にはスマートレーン6台を新規導入し、既存のものと合わせ8台導入する。北側の新規導入は4台で、既存分と合わせ6台とする。このほか南北に1台ずつ、ベビーカーなどの専用レーン「ストレートレーン」を導入する。ストレートレーンと合わせ、改修後のレーンは南側が9台、北側が7台となる。
24日に伊丹空港で会見したKAPの伊丹空港本部長を務める北山博常務は、従来のレーンでは1時間あたり170人だった処理能力が、スマートレーン導入により230人に向上した事例を紹介し、「繁忙期でも最大246人が利用できた。待ち時間は最大15分だった」と述べ、処理能力の向上に自信を見せた。
空港内で2本のみだったムービングウォーク(動く歩道)は、順次増設。2018年4月に6本、2019年3月に4本設置し、現在は12本となっている。今年3月には残りの2本を設置し、増設後は計14本となる。
また、旅客が運ぶカートを伊丹空港では初導入。南北1台ずつ、計2台運用する。
非航空利用者向けの店舗も
保安検査場通過後エリアに設ける商業エリアは「ウォークスルー型」とし、回遊性を高める。店舗は物販ゾーンと飲食ゾーンに分け、物販ゾーンを通過後に飲食ゾーンに入る。どちらも伊丹初出店の店舗をそろえることで、利用客の早めの保安検査場通過を促し、定時運航率の向上にもつなげる。
物販ゾーンは南に9店舗、北に7店舗の計16店舗が出店予定で、このうち南は、リクルートライフスタイルが発行する旅行情報誌『じゃらん』編集部が選んだ土産を販売する「じゃらんマルシェ」など7店舗、北は旅行雑貨を扱う「TABITUS+」など6店舗の計13店舗が伊丹初出店。飲食ゾーンは南8店舗、北7店舗の計15店舗で、うち南北6店舗ずつ計12店舗が伊丹に初出店する。
また、保安検査場前の一般エリアでも新店舗を営業する。到着客や送迎客のほか、近隣住民など、飛行機に乗らない利用客の取り込みも狙う。南は1店舗のみで、豚まんの「551HORAI」がオープン。北は4店舗すべて伊丹出店で、本やCDなどを取り扱うHMVが入居する。
常務「伊丹は相当変わる」
北山常務は飛行機を「非日常」、地上を走行する新幹線を「日常」と表現し、東京-大阪間の移動は新幹線との競争が激しい、との認識を示した。北山常務は「新幹線は絶対的な王者。利用客を少しでも伊丹に向けたい」と、刷新にかける思いを述べた。
また、伊丹空港周辺の大阪・豊中市や兵庫・伊丹市などの北摂地域は人口が増えている現状を紹介した北山常務は空港の利用者増加に向けた施策として、「いかに『伊丹空港ファン』を作るか」がカギと述べた。今回のリニューアルにより「伊丹空港は相当変わる、というのを周知したい」とし、決意を新たにした。
ターミナル69年開業
伊丹空港の正式名称は大阪国際空港で、1939年1月17日に開港。2019年で、開港80周年を迎えた。現在のターミナルは大阪万博開幕を控えた1969年に開業し、リニューアル工事はKAPに運営権が移る直前の2016年2月に着工した。49年ぶりの刷新となった2018年4月には、これまで南北に分かれていた到着口を中央1カ所に集約した。リニューアルに伴いオープンした商業エリアには、世界初となる空港内ワイン醸造所を併設したレストランや、関西の有名店などが出店している。
KAPはリニューアル工事に300億円以上を投資。すべての工事は今夏に終了する見込み。
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