ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のピーチ・アビエーション(APJ/MM)は12月26日、関西-奄美大島線の運航を開始した。統合を完了した旧バニラエアからの路線移管で、5月までバニラが運航していたものを引き継いだ。ピーチの奄美路線は成田に続き2路線目で、同日に開設した成田-石垣線とともに、バニラから引き継ぎ対象だった全10路線の移管が完了した。
—記事の概要—
・奄美発着は夕方
・奄美は「楽しみながら学ぶ島々」
・10路線の移管完了
奄美発着は夕方
ピーチでの再開後はバニラ運航時と同様、1日1往復運航する。運航スケジュールは各日共通で、奄美行きMM205便は関空を午後2時10分に出発し、午後4時5分に着く。折り返しの関西行きMM206便は午後4時45分に奄美を出発し、午後6時15分に到着する。機材はエアバスA320型機(1クラス180席)を投入する。
12月26日の初便となった奄美行きMM205便(A320、登録記号JA815P)は、定刻より15分遅い午後2時25分に関空を出発し、奄美には定刻より15分遅い午後4時20分に到着。177人(うち幼児7人)が利用した。折り返しの関西行きMM206便は104人(うち幼児0人)が利用し、定刻より11分遅れの午後4時56分に奄美大島を出発した。
関西線の就航に伴い、成田線の運航スケジュールを変更。従来は奄美発着を夕方に設定してものを、昼便に変更した。26日以降の成田発MM541便は奄美の午前11時30分に到着し、折り返しのMM542便は、午後0時10分に成田に向け奄美を出発する。
奄美は「楽しみながら学ぶ島々」
MM205便の初便到着時、奄美空港の到着口で歓迎セレモニーを開催。ピーチの井上慎一CEO(最高経営責任者)と鹿児島県の三反園訓(みたぞの・さとし)知事、あまみ大島観光物産連盟の有村修一会長らが初便の到着客を出迎え、島名産の黒糖などのプレゼントした。
奄美空港の到着口前で開催したセレモニーで、三反園知事は「奄美群島の振興は、県政の重要な柱」と述べ、注力する考えを示した。「ピーチの就航をきっかけとし、地元自治体とともに群島の発展に寄与したい」と語り、今後はピーチへの支援を強化する姿勢を示した。
ピーチの井上CEOは、「(関西線は)10月に就航した成田線に続き、奄美群島に明るい変化をもたらすと確信している」と述べた。
奄美の地元企業などと連携し、7月からワークショップを開催しているピーチは、地域活性化などについて検討を始めている。井上CEOはワークショップを通じ、「地元の方々から、奄美は『楽しみながら学ぶ島々』というのを教えていただいた」と語り、「関西市場でも展開していきたい」と今後の展望を語った。
10月に成田-奄美線を就航し、およそ3カ月が経過した。ワークショップを開催するなどバニラが就航していた時代と比較し、踏み込んだ誘客を展開している。旅客の過ごし方の変化について井上CEOは「まだ実感がない」としつつ、「これから効果が出る。過ごし方を変化させたい」とした。
10路線の移管完了
バニラは関西-奄美大島線を、2017年3月26日に1日1往復で就航。バニラの奄美乗り入れは2014年7月1日就航の成田線に続き2路線目で、関西空港と奄美空港を結ぶ路線は1998年以来19年ぶりの復活となった。バニラは関西-奄美大島線にA320(1クラス180席)を投入。運航を終了した今年5月6日まで、合計1481便を運航した。
ピーチはバニラとの統合に伴い、バニラが運航していた13路線のうち、廃止した3路線を除く国内・国際5路線ずつ計10路線をピーチに移管。このうち最も早く移管したのが6月1日に再開した成田-那覇線で、以降、順次移管を進めてきた。
26日は関西-奄美大島線のほか、成田-石垣線も就航(関連記事)。2路線の開設により10路線の移管が終了した。
運航スケジュール
MM205 関西(14:10)→奄美大島(16:05)
MM206 奄美大島(16:45)→関西(18:15)
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