2020年3月29日開始の夏ダイヤで増枠される羽田空港の国際線発着枠。50枠(便)のうち、日本と相手国の航空会社に25枠ずつ配分され、国別で見ると半数近い24枠を日米で12枠ずつ配分することになり、日本の大手2社には6枠ずつ配分された。米国路線は各社のドル箱であり、ここで利益を出しながら新規路線を開拓していくことになりそうだ。
日本航空(JAL/JL、9201)は、今年で米国西海岸就航65周年を迎えた。JALでもっとも長い歴史を持つ国際線が、2月に65周年を迎えたJL1/2便の便名を有する東京-サンフランシスコ線で、2020年の夏ダイヤでは成田発着便を再開し、東京-サンフランシスコ路線は1日2往復、週14往復に拡大する。
同じく今年65周年を迎えたホノルル線は、夏ダイヤでは羽田と成田から1日2往復ずつ計4往復とし、羽田では国内線との接続で全国各地からハワイへ向かう需要を取り込む。
そして、今年3月31日に1992年以来27年ぶりに復活させた成田-シアトル線。前回取り上げたように、シアトルを目的地とする渡航需要に加え、同地を拠点とするアラスカ航空(ASA/AS)とのコードシェア(共同運航)により、アジアと北米を結ぶ乗り継ぎ需要を取り込む。一方で、全日本空輸(ANA/NH)はシアトル線を羽田へ移管。両社で戦略が分かれた路線の一つだ。
西海岸のJALの就航地は、65周年を迎えたサンフランシスコ、60周年のロサンゼルス、2012年12月2日就航のサンディエゴ、シアトルの4都市になった。2021年には、2020年5月に就航を予定している100%出資の中長距離LCCであるZIPAIR(ジップエア)が西海岸就航を目指す。JALの森岡清人・米州地区支配人に、米国路線の現状や今後の戦略などを聞いた。
—記事の概要—
・なぜシアトルを成田に残したか
・ZIPとは「カニバらない」
・「人的サービスに帰結する」
なぜシアトルを成田に残したか
米国路線の今年上期までの状況について、森岡氏は「米国からの渡航が着実に増えており、非常に高い水準です」と説明する。「シアトル線は長らくやりたい路線でした。供給環境などが整い、そろそろやる時期と就航を決めました。機材はボーイング787-8型機(2クラス186席)と比較的小ぶりですが、着実に実績を作ってビジネスのお客様を取り込みたいですね」と、小さく産んで大きく育てる方針だ。
路線拡大に加えて、2010年の破綻後にJALが強化してきたのが、パートナーとなる航空会社との共同事業(JV)だ。JALは北米ではアメリカン航空(AAL/AA)とJVを展開しており、彼らとの連携で米国発需要の取り込みも強化している。
「アメリカンとのJVによって、JALのプロダクトを米国発のお客様にも使っていただけます。アメリカンとのコードシェア便で、JALが運航する便のお客様が増えており、これが収益を支えています」と、自前主義との決別が奏功しているという。
JALの北米戦略で重要な位置を占めるのが、アメリカンとのJVに加えてアラスカ航空との提携だ。シアトル・タコマ国際空港を拠点とする同社は、機内設備などサービスに定評がある。一方で、JALが加盟する「ワンワールド」のようなアライアンス(航空連合)には加盟しておらず、JALとは2社間の提携だ。
シアトルはJALがアジアと北米を結ぶ乗り継ぎ需要の取り込みを狙った路線だ。しかし、アメリカンはシアトルからの便が少ない。アラスカとしても太平洋路線の需要を取り込みたいという思惑もあり、JALは北米でアメリカンとアラスカの2社との提携に至った。
「シアトルは非日系マーケットを重視したモデルケースの路線でもあります」と、JALシアトル支店の山田公正支店長は説明する。
今回の羽田増便で、JALがシアトル線を成田に残した背景には、こうした狙いがある。
ZIPとは「カニバらない」
では、JALとして今後の米国路線はどう展開していくのか。森岡氏は「羽田と成田両方がいい都市もあります。そういう
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