成田国際空港会社(NAA)は11月7日、国土交通大臣に、航空法に基づく空港等の変更許可を申請した。成田空港の機能強化に向けた基本計画の改定を受けたもので、第3滑走路(C滑走路)を2028年度末までに新設。年間発着回数を50万回に拡大する。
—記事の概要—
・「観光先進国には成田の発展必要」
・滑走路3本で「スライド運用」
「観光先進国には成田の発展必要」
NAAの田村明比古社長が国土交通省を訪れ、国交省航空局(JCAB)の和田浩一局長に申請書を提出した。提出後に取材に応じた田村社長は、観光先進国の実現を目指す上で、首都の玄関口である成田空港の発展が必要不可欠だとした。
国交省が改定した基本計画では、2030年度をめどとした機能強化を示している。NAAは完成予定を2029年3月31日とし、申請した。前倒しとなった理由について田村社長は、周辺市町からは1日も早い機能強化の実現を求められていることを挙げた。
成田空港の現在の敷地面積は1198ヘクタールで、今回の申請により2297ヘクタールに拡張する。拡張に必要な1099ヘクタールのうち、地権者から取得する民有地は743ヘクタールで、公用地が115ヘクタール、NAAの所有地が241ヘクタールとなる。11月7日現在、民有地743ヘクタールのうち696ヘクタールについて、約1230人から同意書を取得済み。公用地と所有地を合わせ、96%にあたる1052ヘクタールが取得への見通しがついた土地となる。
残りの民有地47ヘクタールについて、田村社長は「周辺市町や県と連携し、地権者の理解を得る努力を積み重ねていきたい」と語った。
B滑走路の延伸とC滑走路の新設工事は同時に進め、供用後は滑走路別に異なる運用時間を採用する「スライド運用」を導入する。田村社長は「B滑走路とC滑走路は連動する」と述べ、工事を同時進行する見通しを示した。
成田空港の現在の年間発着回数は30万回。滑走路の新設・延伸などにより、20万回を上積みして年間50万回に拡大する。2020年東京五輪までに管制機能の高度化や、着陸後に滑走路から駐機場へ向かうための「高速離脱誘導路」を再配置することにより2万回ずつ増加するほか、今回の申請によるC滑走路の新設とB滑走路の延伸により、16万回増える見込み。
滑走路3本で「スライド運用」
成田空港は現在、4000メートルのA滑走路(RWY16R/34L)と2500メートルのB滑走路(RWY16L/34R)の2本で運用している。このほか横風用の滑走路を計画していたが、5日に改定を発表した基本計画で、横風用の旧C滑走路(3200メートル)を廃止。B滑走路南に新たに3500メートルの新C滑走路を整備する。また、B滑走路は現行の2500メートルから北側に1000メートル延伸し、3500メートルとする。
C滑走路の供用開始までは、既存の滑走路2本で運用する。A滑走路は冬ダイヤが始まった10月27日から、運用時間を1時間延長。従来の午前6時から午後11時までを、午前0時までに延ばすとともに、午後10時以降に設定していた便数制限を撤廃した。
A滑走路は、飛行経路下での騒音休止時間帯を6時間確保。午前0時から午前0時30分までの30分間を「カーフュー(離発着制限)の弾力運用」の時間帯とし、出発空港での遅延や成田への引き返しなどにより離着陸を認めている。
B滑走路は現状どおり、午前6時から午後11時までの運用時間とし、7時間の制限時間を設ける。
C滑走路の供用後はスライド運用を導入し、現状どおり7時間の静穏時間を確保する。午前5時から午後10時までの「早番」と、午前7時30分から午前0時30分までの「遅番」の運用時間に分別。北風運用の場合、A滑走路の着陸とB滑走路の離陸、C滑走路の着陸とA滑走路の離陸をグループにすることで、滑走路の南北での静穏時間を設定する。
早番と遅番は、定期的に入れ替える。カーフューは、午前0時30分から午前1時までの30分間。空港全体の運用時間は午前5時から午前0時30分までとする。
関連リンク
成田国際空港
成田空港の明日を、いっしょに(NAA)
国土交通省
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