国土交通省は11月5日、成田空港の機能強化に向けた基本計画を改定すると発表した。2030年をめどに第3滑走路(C滑走路)を新設し、既存滑走路を延長。年間発着回数を50万回に拡大する。基本計画は国土交通大臣が定めるもので、改定は1966年(昭和41年)以来53年ぶり。
*28年度新設へ国交省申請。記事はこちら。
—記事の概要—
・B滑走路も延伸
・滑走路3本で運用時間延長へ
B滑走路も延伸
成田空港は現在、4000メートルのA滑走路(RWY16R/34L)と2500メートルのB滑走路(RWY16L/34R)の2本で運用している。このほか、横風用の滑走路を計画している。改定した基本計画によると、横風用の旧C滑走路(3200メートル)を廃止し、B滑走路南に新たに3500メートルの新C滑走路を整備。B滑走路は現行の2500メートルから北側に1000メートル延伸し、3500メートルとする。
工事完了の予定期限は2030年で、2020年代の完成を目指して整備を進める。滑走路の新設・延伸により、年間発着回数を現在の30万回から50万回に拡大する。
滑走路3本で運用時間延長へ
C滑走路の供用開始までは、既存の滑走路2本で運用する。A滑走路は冬ダイヤが始まった10月27日から、運用時間を1時間延長。従来の午前6時から午後11時までを、午前0時までに延ばすとともに、午後10時以降に設定していた便数制限を撤廃した。
A滑走路は、飛行経路下での騒音休止時間帯を6時間確保。午前0時から午前0時30分までの30分間を「カーフュー(離発着制限)の弾力運用」の時間帯とし、出発空港での遅延や成田への引き返しなどにより離着陸を認めている。
B滑走路は現状どおり、午前6時から午後11時までの運用時間とし、7時間の制限時間を設ける。
C滑走路の供用後は、滑走路別に異なる運用時間を採用する「スライド運用」を導入し、現状どおり7時間の静穏時間を確保する。午前5時から午後10時までの「早番」と、午前7時30分から午前0時30分までの「遅番」の運用時間に分別。北風運用の場合、A滑走路の着陸とB滑走路の離陸、C滑走路の着陸とA滑走路の離陸をグループにすることで、滑走路の南北での静穏時間を設定する。
早番と遅番は、定期的に入れ替える。カーフューは、午前0時30分から午前1時までの30分間。空港全体の運用時間は午前5時から午前0時30分までとする。
国土交通省と千葉県、成田市など空港周辺9市町、成田国際空港会社(NAA)による成田空港の4者協議会は空港の機能強化について合意し、2018年3月に確認書を締結した。NAAは今後、航空法に基づく空港等の変更許可を申請。許可後、整備を開始する見込み。
28年度新設へ国交省に申請
・成田空港、28年度末までにC滑走路新設へ 国交省に変更許可申請(19年11月7日)
成田空港の機能強化
・成田空港、スカイライナー最終50分繰り下げへ 23時20分発、運用延長で(19年9月3日)
・成田空港、運用延長で正式合意 深夜0時まで、冬ダイヤから(19年2月5日)
・成田空港、深夜0時まで運用延長 9市町と合意、冬ダイヤから(19年1月31日)
・成田空港、運用1時間延長「早めに」 19年冬ダイヤにも(18年10月26日)
・成田空港、C滑走路新設へ 年間発着回数50万回に(18年3月15日)
・成田空港スライド運用案、「ぎりぎりの調和点」 夏目社長「説明重ね理解得たい」(17年6月29日)
・成田空港、運用1時間延長へ 20年まで、静穏6時間確保 C滑走路後「スライド運用」(17年6月13日)
・成田空港、内窓防音効果の体験施設 40デシベル遮音(17年2月23日)
・成田空港の地元団体、NAAに第3滑走路実現へ要望書提出(16年11月7日)
・成田空港、夜間飛行制限緩和へ 深夜1時まで 第3滑走路予定地示す(16年9月28日)
・成田空港の地元団体、第3滑走路実現向け勉強会(16年7月25日)
・成田空港、C滑走路実現向け推進本部(15年10月1日)
・成田第3滑走路建設向け、国など4者協議会 夏目社長「スピード感持って対応」(15年9月18日)
・成田空港第3滑走路、国交相に地元が要望書(15年4月28日)