三菱重工業(7011)の泉澤清次社長は10月31日、子会社の三菱航空機が開発中の「三菱スペースジェット(旧MRJ)」について、機体の安全性を国が証明する「型式証明(TC)」取得時に使う飛行試験機(通算10号機)の完成が遅れ、年明けになると明らかにした。
これまでの計画では、設計変更を反映した10号機を使った飛行試験を今秋から始める予定だったため、順調に試験が進んだ場合でも3カ月程度の納入遅延が生じる可能性があり、6度目の延期が現実味を帯びてきた。5度目までの遅延に対しては、すでに航空会社との補償交渉も始まっている。
—記事の概要—
・10号機は年明け
・ANAとは補償交渉
・会見で「MRJ」頻出
10号機は年明け
スペースジェットの飛行試験機は現在4機で、米国の飛行試験拠点があるワシントン州モーゼスレイクで試験を進めている。試験機は最大7機まで増やす予定で、秋ごろから国内での飛行試験を始める計画だった10号機は、製造開発段階で配線系統の課題が発覚するなど、開発に遅れが出ている。国内で試験後は、モーゼスレイクへ持ち込んで「TC飛行試験」に使う機体だ。
泉澤社長は、10号機の完成時期について「年明けぐらい」と述べ、国内での飛行試験開始は早くても2020年1月になる見通し。現在示されているスペースジェットの納期は2020年半ばで、2017年1月23日に示された5度目の延期のもの。この納期を実現するためには、2020年初頭までにTCを取得しなければ難しく、6度目の延期は避けられそうにない。
「安全性を重視する中で、(10号機は)確実な製作を進める。当初計画より少し時間がかかっており、スケジュールはいま見直している最中」(泉澤社長)と、明言は避けた。
ANAとは補償交渉
スペースジェットの総受注は287機で、内訳は確定受注が163機、オプションと購入権が124機。10月31日に地域航空会社3社を持つ米トランス・ステーツ・ホールディングス(TSH)が最大100機購入する契約をキャンセルしたことで、この数字になった。
TSHはキャンセル理由
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