成田国際空港会社(NAA)の田村明比古社長は9月26日、台風15号の影響により9日に多数の滞留者を発生させた事案について陳謝した。今後は滞留者への情報提供の強化するほか、国土交通省などと連携し、発生を抑える対策を講じる。
関東地方では9月9日に強い台風15号が上陸した影響により、交通機関の運休や通行止めが相次いだ。成田空港から都心方面に向かう成田スカイアクセス線と空港バスは、同日午後5時過ぎに運行を再開したものの、JR線と京成本線は終日運休。これらにより、到着客が空港から出られなくなる事例が相次いだ。
空港内にはもっとも多かった9月10日午前0時時点で1万6900人が滞留。このうち1万3300人が翌朝まで空港内に留まるなど、混乱は翌日まで続いた。
田村社長は空港が被災した場合の対応には備えがあったとする一方、「空港の基本機能が正常であるが、アクセスが長時間不通であることを想定した準備が不足していた」と述べ、今後検証を重ねる意向を示した。
今回の事案は「多くの旅客を滞留させたこと」「旅客への情報提供の不十分」の2点が改善点だとし、旅客の滞留については「できるだけ発生させないような対策が必要」と述べ、出発地の空港への出発制限の依頼や、到着機へのダイバート(目的地変更)などが効果的だとした。
9日は6便がダイバートした。田村社長は成田を目的地とする便の昼間のダイバートについて「羽田は(混雑により)難しいので、離れた空港にダイバートすることになる。折り返し便への影響など、総合的に判断する必要がある」とした。
情報提供については、「アクセス復旧の見通しが立たない段階で、どのように情報提供するか。アクセス復旧後、どのように安全かつ速やかに誘導するか」と述べ、早急な改善策が必要との認識を示した。今後は既存の館内放送やサイネージを活用するほか、空港のウェブサイトや各種SNSなどでも発信する。
これらの問題については、国交省の航空局長や観光庁長官などを歴任した田村社長は「NAAだけで完結するものではない。国(国交省)とも共有し、早急な調整が必要だ」との認識を示した。また、緊急時のアクセス確保など、空港近隣のバス会社と協力関係の構築が重要とした。
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成田国際空港
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