現在の訓練施設がある米フェニックスで、再開後初の授業が開かれてから8月21日で5年が過ぎた日本航空(JAL/JL、9201)。2010年1月の経営破綻や、2013年10月のA350導入決定を機に、JALはパイロットの訓練方法を大きく変えた。訓練の初期段階から機長と副操縦士の2人乗務(マルチクルー)を前提とした「MPL(マルチクルー・パイロット・ライセンス)」を導入し、チームで運航する能力を訓練の初期段階から身につけるようにしている。
前回は訓練最初期にあたるプロペラ機DA-40による訓練を取り上げたが、第2回目の今回は次の段階であるジェット機訓練。プロペラ機8カ月とジェット機6カ月の約1年2カ月、天候などで飛べない日なども加味するとおおむね1年半弱におよぶフェニックスでの訓練はここまでで、その後はシミュレーター訓練を経てボーイング737型機の実機訓練に入る。
フェニックスにはいくつか空港があり、JALの場合はプロペラ機がファルコンフィールド空港、ジェット機はメサ・ゲートウェイ空港で訓練する。訓練で使用する機体は委託先であるCAEのグループ会社が保有し、ジェット機訓練で使うセスナ サイテーションCJ1+も、同社がJALの訓練を受託したことで導入したものだ。(肩書きは取材当時)
—記事の概要—
・30分以内にフライトプラン作成
・操縦特性やFMSで機種選定
・「勝手に感動して、勝手にジーンとしてしまう」
30分以内にフライトプラン作成
ビジネスジェットで訓練、と聞くとぜいたくだと受け取る人もいるかもしれないが、訓練生たちは航空会社のパイロットである以上、さらに大きな737や最新鋭のエアバスA350 XWBにいずれ乗務することになる。そうであれば、これらの機体に近い操縦特性を早い段階から学ばせ、現在の訓練で重視しているパイロット同士のチームワークの醸成に重みを置いた方がいい。
「訓練生にとって初めてのジェット機で、双発機。車輪も上がる飛行機として、CJ1+を選びました」と、自らも現役機長でフェニックスで飛行訓練を担当する教官の本郷猛さんは語る。単にジェットエンジンの機体であるだけでなく、離着陸時の
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