成田空港を運営する成田国際空港会社(NAA)は、LCC専用として使用する第3ターミナル(T3)について、9月5日から増築部の供用を開始する。拡張後は出発客と到着客の混在する動線を分離し、混雑緩和を図る。供用開始となる前日の4日には、新しくなる動線などを報道関係者向けに公開した。
—記事の概要—
・1階からビル退出
・機能強化で年間900万人へ
1階からビル退出
増築したのは1階到着ロビーで、2018年8月からおよそ1年間かけて工事し、約1600平米を拡張。待合エリアと案内カウンター、手荷物手配カウンターを新規で設置し、バス乗車券の販売カウンターや京成線の乗車券販売機などを2階から移設した。このほか、訪日客向けにSIMカードの販売機や両替所も設ける。
到着客は1階の到着ロビーからターミナルビルを出て、エスカレーターと階段、エレベーターで2階へ上がる。2階ではターミナルビル入り口付近に合流し、既存の動線で第2ターミナル(T2)方面へ向かう。
新設したエレベーターは各種の障がい者に配慮した作りで、非常ボタンを色覚障がい者に配慮した赤と黄色でデザインし、視覚障がい者向けに浮き出し文字も取り入れた。箱内にはテレビ電話用のモニターとカメラを設置。非常時に係員とテレビ電話を通じ会話できるようにした。
入り口は開閉ボタンなどを前面から側面に配置することで全開できる仕組みを採用し、車いす利用者にも配慮。車いす利用者が後方確認用に使う鏡は、天井付近に設置した。
機能強化で年間900万人へ
T3はLCC専用のターミナルとして、2015年4月8日に供用を開始。ジェットスター・ジャパン(JJP/GK)とジェットスター航空(JST/JQ)、バニラエア(VNL/JW)、春秋航空日本(SJO/IJ)、チェジュ航空(JJA/7C)の5社が供用当初から乗り入れ、現在も5社が使用している。
当初、年間750万人の利用を見込んでいたが、LCC各社の新規路線や増便に伴い2016年度は688万人、2017年度は764万人が利用した。2018年度は前年度を下回る762万人だったものの、当初の想定を上回っている。
国内線と国際線の到着客は、1階の到着フロアで合流。その後従来の動線では、2階にある到着階へ階段やエスカレーターなどで上がっている。2階には出発ロビーがあり出発客も往来しており、午後5時から午後7時までのピーク時には多くの利用客でごった返している。
T3は今年度末をめどに機能強化を計画し、受託手荷物の検査時の、X線検査と手荷物搬送システムを一体化した装置「インラインスクリーニングシステム」を導入。また機内持込の手荷物検査には、高度な保安検査機器「スマートセキュリティ」を取り入れることで、年間の処理能力を750万人から900万人への引き上げを計画する。
*写真は15枚。
関連リンク
成田国際空港
T3の機能強化
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供用後のT3
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15年4月供用
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【お知らせ】
拡張後のターミナル見取り図を最新のものに差し替えました。(19年9月4日 18:23 JST)