エアライン, ボーイング, 企業, 機体 — 2019年6月8日 22:51 JST

骨盤支えて疲労軽減 写真特集・ANA国内線777・787新シート(普通席編)

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下の全日本空輸(ANA/NH)は、今秋から国内線用ボーイング777-200型機と787-8に新シートを導入する。上級席「プレミアムクラス」と普通席ともに個人用モニターや電源コンセントを設け、普通席は自動車用シートを手掛けるトヨタ紡織(3116)と共同開発したものを採用する。

*実機の機内はこちら

国内線普通席の新シートを紹介するANAの客室乗務員=19年5月29日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ANAは、2017年9月12日に就航した国内線用のエアバスA321neoから、全席にタッチパネル式個人用モニターを設置。今回発表の新シートもこれを踏襲した。普通席は11.6インチのタッチパネル式のものを採用した。

 背もたれのフレーム形状を最適化したり、座面を低くすることで、大柄な人から小柄な人まで、どのような体格の人が座ってもフィットするようにした。テーブルのカップホルダーはクローバー型に変更することで、紙コップを取り出しやすくし、特許を出願した。

 トヨタ紡織ACT推進部の梶雅雄室長によると、骨盤をしっかり支持することで腰周りの筋肉の疲労を抑え、リラックスできる姿勢を保持できるようにして、座り心地を向上させたという。

 電源コンセントと充電用USB端子も設置。小物入れは中が見えるようにし、スマートフォンなどを入れても忘れにくくした。また、テーブルとひざの間に余裕を持たせ、背もたれは倒す前の状態でも十分な角度をつけるようにした。

 ANAでシート開発に携わるCEマネジメント室商品企画部の牧克亘氏は、「従来とは違った見方で、座り心地を向上できた」と、自動車用シートのノウハウを持つトヨタ紡織との共同開発により、得られた知見があったと話す。

 一方のトヨタ紡織がANAのシートを手掛けるのは、国内線用767-300向け普通席に続いて2件目。同社製シートを搭載した767は2015年5月26日に初号機が就航し、6機に搭載された。座面を低くする工夫は、767のシートを踏襲している。航空機用シートは耐荷重性能などクリアすべき要求が高く、同社の新規参入が実現した要因のひとつが、航空会社との共同開発にあった。

 新シートを採用する機材は、777-200が8機、787-8が11機で、2022年度上期までに順次導入する。新仕様機の座席数は、777-200は2クラス392席(現行は405席)で、プレミアムクラス28席(同21席)と普通席364席(同384席)で、プレミアムが7席増えて普通席が20席減る。787-8は2クラス312席(同335席)でプレミアム28席(同12席)と普通席284席(同323席)で、プレミアムが16席増えて普通席が39席減少する。

 本写真特集では、普通席のシートのモックアップを取り上げる。

*写真は13枚。
*プレミアムクラスの写真特集はこちら

ANAの国内線普通席新シートのモックアップ=19年5月29日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAの国内線普通席新シートのモックアップ=19年5月29日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

11.6インチのタッチパネル式モニターを採用したANAのトヨタ紡織製新シート=19年5月29日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

11.6インチのタッチパネル式モニターを採用したANAのトヨタ紡織製新シート=19年5月29日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

テーブルを出したANAのトヨタ紡織製新シート=19年5月29日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

テーブルを出し手前に引いたANAのトヨタ紡織製新シート=19年5月29日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

テーブルを出したANAの国内線普通席新シートのモックアップ=19年5月29日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

リクライニングしたANAの国内線普通席新シートのモックアップ=19年5月29日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

テーブルを出し手前に引いたANAのトヨタ紡織製新シートの電源コンセント=19年5月29日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

テーブルを出し手前に引いたANAのトヨタ紡織製新シートの電源コンセント=19年5月29日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAの国内線普通席新シートについて説明するトヨタ紡織ACT推進部の梶室長=19年5月29日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

国内線普通席の新シートを紹介するANAの客室乗務員=19年5月29日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
全日本空輸
トヨタ紡織

実機の機内
ANA、777国内線新仕様機が16日就航 モニター・電源付き新シート(19年11月14日)

写真特集・ANA国内線777・787新シート
プレミアムクラス編 15インチモニターと電動リクライニング(19年6月4日)

全席個人モニター装備の国内線機材
ANA、A321neo国内初就航 電源と個人モニター装備(17年9月12日)

写真特集・ANA A321neo初号機
機内編 各席に個人モニターや電源装備(17年9月10日)
外観編 低燃費大型エンジンは直径2メートル(17年9月10日)

トヨタ紡織製シート
ANAとトヨタ紡織、国内線に新シート投入 座面低く、クッションしっかり(15年5月26日)
テーブルの使い勝手にもこだわり 写真特集・ANA×トヨタ紡織の新シート(15年5月27日)
篠辺社長「座った瞬間違いわかる」 写真特集・ANA国内線新シート(15年4月22日)
ANA、座り心地重視の新シート トヨタ紡織と国内線向けに開発(15年4月21日)