成田国際空港会社(NAA)の夏目誠社長が、6月25日に退任する。後任には国土交通省航空局長や観光庁長官を歴任した田村明比古氏が就任する見込み。夏目社長にとって最後の定例会見となった5月30日に7年間の在任期間を振り返り、LCC専用の第3ターミナル(T3)の供用開始が印象深かったと述べた。
2012年6月に就任した夏目社長は、2015年4月のT3供用が在任期間で印象深かったとした。夏目社長は「LCCは成田の旅客便のうち3割を占める。フルサービス航空会社(FSC)とともに、成田を支える2大柱だ」と述べ、在任期間の7年間で成長したLCCが、成田空港の成長に欠かせないとした。
このほか、2013年3月に国と千葉県、成田空港周辺9市町、NAAの4者で合意した離発着制限(カーフュー)の弾力化や、2015年3月に廃止した入場時の検問などについて、近隣住民に対し「地域の皆さまにご理解いただけた。開かれた空港にすることができた」と述べ、謝意を表した。
夏目社長はNAAの社長就任前、JR東日本(東日本旅客鉄道、9020)の副社長を歴任し、関連会社のJR東日本リテールネットの社長として“駅ナカ”事業を成功させた。
就任初年度の2012年度は679億円だった空港内の商業施設売上など「リテール事業」は、2018年度は1432億円で在任中で2.1倍になった。着陸料などの「空港運営事業」とリテール事業の売上比率は、2012年度の53対47から、2018年度には42対58となり、リテール事業が拡大している。夏目社長はリテール事業の伸びについて、「成長に資することができた」と自己評価した。
後任の田村氏は6月25日に就任する。夏目社長は田村氏について「極めて適切な人にバトンタッチできる。正直ほっとしている」と述べ、安堵の表情を見せた。「振り返るのはまだ早い」とした夏目社長は、1カ月を切った任期を全力で走り抜ける。
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