ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下の全日本空輸(ANA/NH)は5月29日、国内線用ボーイング777-200型機と787-8に新シートを今秋から導入すると発表した。上級席「プレミアムクラス」と普通席ともに個人用モニターや電源コンセントを設け、プレミアムは増席。普通席はトヨタ紡織(3116)と共同開発したシートを採用した。
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ANAは、2017年9月12日に就航した国内線用のエアバスA321neoから、全席にタッチパネル式個人用モニターを設置。今回新シートを導入する777-200と787-8も、全席にタッチパネル式のモニターを採用する。プレミアムクラスは、電動リクライニングシートを採用した。また、2機種とも機内Wi-Fiサービスに対応する。
プレミアムクラスはサフラン・シート・US(旧ゾディアック・シート・US)製で、表面を現行の革張りから布地に変更することで、滑りにくくなった。個人用モニターは、ANAの国内線用中大型機では最大サイズとなる15インチのタッチパネル式のものを採用した。
電動リクライニングのほか、座席横にペットボトルなどが収納できる小物入れを設け、電源コンセントと充電用USB端子を設置。テーブルは90度回転する大型のものを採用した。座席間には大型ディバイダー(間仕切り)を設置し、プライバシーを確保した。
普通席はトヨタ紡織製で、大柄な人から小柄な人まで、どのような体格の人が座ってもフィットするよう、背もたれのフレーム形状を最適化したり、座面を低くした。また、11.6インチの個人用モニターを採用し、テーブルのカップホルダーはクローバー型に変更することで、紙コップを取り出しやすくした。
電源コンセントと充電用USB端子も設置。小物入れは中が見えるようにし、スマートフォンなどを入れても忘れにくくした。
トヨタ紡織がANAのシートを手掛けるのは、国内線用767-300向け普通席に続いて2件目。同社製シートを搭載した767は2015年5月26日に初号機が就航し、6機に搭載されている。座面を低くする工夫は、767のシートを踏襲した。
新シートを採用する機材は、777-200が8機、787-8が11機で、今秋から導入予定。2022年度上期までに順次導入する。新仕様機の座席数は、777-200は2クラス392席(現行は405席)で、プレミアムクラス28席(同21席)と普通席364席(同384席)で、プレミアムが7席増えて普通席が20席減る。787-8は2クラス312席(同335席)でプレミアム28席(同12席)と普通席284席(同323席)で、プレミアムが16席増えて普通席が39席減少する。
ANAの平子裕志社長は、「トヨタ紡織のシートは乗客の評判が良かった。日本企業の安心感もある」と、期待感を示した。
実機の機内
・ANA、777国内線新仕様機公開 モニター・電源付き新シート(19年11月14日)
写真特集・ANA国内線777・787新シート
プレミアムクラス編 15インチモニターと電動リクライニング(19年6月4日)
普通席編 骨盤支えて疲労軽減(19年6月8日)
全席個人モニター装備の国内線機材
・ANA、A321neo国内初就航 電源と個人モニター装備(17年9月12日)
写真特集・ANA A321neo初号機
機内編 各席に個人モニターや電源装備(17年9月10日)
外観編 低燃費大型エンジンは直径2メートル(17年9月10日)
トヨタ紡織製シート
・ANAとトヨタ紡織、国内線に新シート投入 座面低く、クッションしっかり(15年5月26日)
・テーブルの使い勝手にもこだわり 写真特集・ANA×トヨタ紡織の新シート(15年5月27日)
・篠辺社長「座った瞬間違いわかる」 写真特集・ANA国内線新シート(15年4月22日)
・ANA、座り心地重視の新シート トヨタ紡織と国内線向けに開発(15年4月21日)