富士通(6702)は3月13日、三菱航空機が開発中のリージョナルジェット機「MRJ」の主要構造部品の製造と最終組立を行う三菱重工業(7011)の名古屋航空宇宙システム製作所(名航)に次世代ものづくり環境「エンジニアリングクラウド」を導入したと発表した。自席のパソコンからネットワーク経由で3次元CADを扱えるほか、データを端末に残さないシンクライアント環境とすることで、情報漏えいを防ぐことができる。
エンジニアリングクラウドは富士通の高速シンクライアント技術「RVEC(レベック)」により三次元CADやCAEなど、グラフィックスを多様するアプリケーションをクラウド環境で利用可能にするソリューション。クラウド上で動作する3次元CADなどの画面を、高圧縮でネットワークを介して端末のパソコンへ送信する。これにより、3次元CADなどのアプリケーションを遠隔操作できるほか、端末上にデータを残さずに作業が行えるため、情報漏えいを防ぐ高いセキュリティーを確保できる。
名航では3次元CADシステムをプライベートクラウド化し、シンクライアント環境での利用を検討していた。エンジニアリングクラウドの導入により、複数拠点間での情報共有や運用管理コストの削減、リードタイム短縮を実現する。
3次元CADの画面を複数の拠点からネットワークを通じて共有できるようになるため、これまで関係者が集まって実施していたデザイン評価が自席で行えるようになる。また、専用ワークステーションがなくても、3次元CADをネットワークを通して自席のパソコンで利用できるようになる。
富士通によると、各拠点からの3次元CADデータの呼び出し応答性は、従来環境と比較して約30%改善するという。
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エンジニアリングクラウド(富士通)
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