成田国際空港会社(NAA)の夏目誠社長は4月25日、発着回数が年間50万回に達する2030年代初頭以降、旅客数が年間7000万人を突破した際、成田空港と都市部を結ぶ鉄道の輸送力増強が中長期的な課題になるとの考えを示した。
NAAが25日に発表した2018年度の運用実績によると、国際線と国内線を合わせた年間の総発着回数は前年度比2%増の25万6821回と、7年連続で過去最高を更新。アジア諸国を中心に訪日需要が旺盛なことから、国際線発着回数は3%増の20万4366回と、4年連続で過去最高を更新するとともに、年度として初めて20万回を突破した。
総旅客数も5%増の4317万5992人と、4年連続で過去最高を更新。訪日客は11%増の1772万9028人と5年連続で開港以来の最高値を更新した。
現在成田空港には、JR東日本(東日本旅客鉄道、9020)と京成電鉄(9009)の2社が乗り入れているが、利用者の増加により、混雑が激しくなりつつある。また、冬ダイヤからは空港の運用時間が翌日午前0時までと、1時間延長することから、NAAは鉄道各社に終電の見直しを要請している。
夏目社長は、「中長期的課題だが、50万回の時点で7500万人と現在の4300万人から大幅に増える。車両増結や増発の余力はあるが、7000万人、8000万人と増えた際にはいまの輸送力では足りない。抜本的な対策が必要ではないか」と述べた。
鉄道は輸送力増強に時間がかかるため、早めに対策を検討する必要がある。夏目社長によると、国土交通省を交えた勉強会を鉄道会社と始めているという。
また、2018年度に成田を発着した旅客便全体のうち、LCCのシェアは32.1%と2017年度の30.7%に続き3割を超えた。夏目社長は「アジアと近距離が中心だが、ZIP AIRが中長距離路線の開設を目指しており、より中長距離LCCの受入を強化したい」と語った。
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成田国際空港
成田国際空港株式会社
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