国土交通省東京航空局は4月9日、旅客機用エンジンの整備で検査方法などの不正が行われていたIHI(7013)に対し、業務改善命令を行った。また、不正が発覚した瑞穂工場など、国の認定を受けた「認定事業場」の監視・監督体制を強化し、抜き打ち検査などを実施する。
検査の不正が行われていたのは、IHIの瑞穂工場。同社によると、国内外の航空会社から2017年1月1日から今年1月31日までの2年間に整備した民間機用エンジン213基を調査したところ、全体の98.1%にあたる209基に対し、不正が行われていたことがわかった。経済産業省は3月29日に、航空機製造事業法に基づき、経産省の認可を受けた修理方法で修理するよう命令した。
国交省によると、IHIからは航空機エンジン事業が拡大したものの、検査員の育成や増員を適切に行わないまま納期を優先し、現場で安全意識やコンプライアンス意識が働かなかったとの報告を受けたという。
また、過去に社内で改善の機会があったものの、経営層まで情報が共有されておらず、要因分析や再発防止策を講じていなかったことが確認され、認定事業場として必要な安全管理体制が十分に機能していなかったという。
国交省は9日の業務改善命令でIHIに対し、出荷品の自主回収や、不正検査が行われた要因や背景を分析するとともに、再発防止策を講じて報告するよう命じた。
また、認定事業場に対する監視や監督も強化する。監督する国交省航空局(JCAB)は、従来は事前通告を原則としていた検査のうち、随時検査は抜き打ちで実施するよう改める。検査方法も社員に対する無記名アンケートの実施などの見直しや、検査員の印鑑管理の徹底など管理体制を強化する。
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